
『プライベート・ライアン』(1998)は第二次世界大戦時中、ライアンという兵士の救出作戦を描いた戦争映画です。
監督は巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督。
本作はアカデミー賞11部門にノミネートされ、監督賞、編集賞、撮影賞、音響賞、音響撮影賞の5部門を受賞しました。
なぜ本作はこれほど評価される映画になったのでしょうか。
第二次世界大戦をリアルに描いた『プライベート・ライアン』(1998)について、感想、作品の考察をネタバレを交えて紹介していきます!
【『プライベート・ライアン』(1998)の評価】
項目 | 評価 | 点数 |
知名度 | ★★★★☆ | 85点 |
配役/キャスト | ★★★★☆ | 80点 |
ストーリー | ★★★★☆ | 75点 |
物語の抑揚 | ★★★★☆ | 70点 |
戦争ドラマ | ★★★★☆ | 85点 |
臨場感 | ★★★★★ | 100点 |
目次
- 1 『プライベート・ライアン』(1998)の作品情報
- 2 『プライベート・ライアン』(1998)の概要
- 3 『プライベート・ライアン』(1998)の感想と考察
- 4 『プライベート・ライアン』(1998)の原題・タイトルの意味とは?
- 5 『プライベート・ライアン』(1998)の原作や元ネタとは? 映画と現実を比較
- 6 【なぜ?】『プライベート・ライアン』(1998)の疑問や魅力を解説
- 7 『プライベート・ライアン』(1998)の最後は? ラストシーンや結末を解説
- 8 【レビュー】『プライベート・ライアン』(1998)の評価・評判
- 9 『プライベート・ライアン』(1998)の総合評価:戦争のリアルを描いた戦争映画の名作!
『プライベート・ライアン』(1998)の作品情報
製作年 | 1998年 |
原題 | Saving Private Ryan |
製作国 | アメリカ |
上映時間 | 170分 |
ジャンル | 戦争ドラマ |
監督 | スティーヴン・スピルバーグ |
脚本 | ロバート・ロダット/フランク・ダラボン |
主要キャスト | トム・ハンクス(ジョン・H・ミラー)/ 日本語吹替:江原正士/山寺宏一
マット・デイモン(ジェームズ・フランシス・ライアン)/ 日本語吹替:平田広明/草尾毅 トム・サイズモア(マイケル・ホーヴァス)/ 日本語吹替:塩屋浩三/石田圭祐 ジェレミー・デイビス(ティモシー・E・アパム)/日本語吹替:二又一成/小森創介 |
『プライベート・ライアン』(1998)の概要

ノルマンディー上陸作戦をする兵士たち:ⓒParamount Pictures/DreamWorks
ノルマンディー上陸作戦を成功させたアメリカ軍だったが、ドイツ軍の激しい攻撃を受け、多くの戦死者を出していた。
そんな中、アメリカ陸軍参謀総長ジョージ・マーシャルの元にライアン家の3人の兄が戦死したという報告が届く。
一番下の弟であるジェームズ・ライアンまでも死なせてはならないという判断により、救出して帰還させるよう命を出す。
アメリカ軍のミラー大尉はライアン二等兵の救出を命じられる。
中隊から7人の兵士を選んで、ライアン救出に向かうミラー大尉の部隊だったが……。
『プライベート・ライアン』(1998)の感想と考察

ミラー大尉:ⓒParamount Pictures/DreamWorks
臨場感のある戦争映画
『プライベート・ライアン』(1998)はかなり臨場感のある映画になっていました。
アカデミー賞で編集賞、撮影賞、音響賞、音響撮影賞を受賞しただけのことはあり、まるで戦場にいるかのような体感になります。
なぜそれほどリアリティのある体感ができるかというと、視覚、聴覚ともにかなりこだわっているのが感じられます。
攻撃を受けた兵士からはもちろん血は流れるのですが、本作はさらにリアリティを追求。
片腕や片足がなくなったり、内臓も飛び出します。
また、雨のように降り注ぐ銃弾や爆発も臨場感のある演出に。
主観的なカメラワークも絶妙で、本当に自分が戦場を駆け抜けていくような感覚を得られます。
音についてもかなりのこだわりで、銃撃音や爆発音もその場にいるかのように聞こえますし、兵士の呼吸音や緊迫感のある声もリアリティが。
スティーヴン・スピルバーグ監督は徹底して戦場のリアリティを追求したのではないでしょうか。
本作は戦争の臨場感を体験してみてください。
戦争の過酷さが伝わる映画
『プライベート・ライアン』(1998)はリアリティがあるだけに戦争の過酷さが伝わってきます。
人がたくさん、しかも簡単に死ぬ。
その死も痛々しいものばかりで、頭を撃ち抜かれて死ぬ者や胸に受けて死ぬ者、爆発で体が吹き飛んで死ぬ者……。
中には苦しみながら死ぬ者もいて、「死にたくない……」「家に帰りたい……」という言葉が胸に迫りました。
本作を観ると、いかに戦争というものが恐ろしいのかが分かります。
月並みな言葉ではありますが、改めて戦争をしてはいけないと感じました。
戦争を知らない世代にはぜひ観て欲しい映画です。
『プライベート・ライアン』(1998)戦慄の冒頭シーンはなぜ生まれたのか?
冒頭シーンはノルマンディー上陸作戦を描いています。
アメリカ軍はこのノルマンディー上陸作戦で多くの犠牲者を出しました。
その惨劇を見せるために、見るに堪えないこの光景が戦争だと分かって欲しいがために、戦慄の冒頭シーンを描いたのではないでしょうか。
冒頭の約20分は、観客に“戦争を観る”覚悟を求めます。
なぜ『プライベート・ライアン』(1998)は高い評価を受けたのか?
感想でもふれましたが、『プライベート・ライアン』(1998)はアカデミー賞で編集賞、撮影賞、音響賞、音響撮影賞を受賞しました。
本作が高い評価を受けた理由は、この賞が物語っています。
本作は、カメラと音で戦争の現実を伝えた。
その点が評価されたのだと思います。
やはり本作のリアリティは素晴らしいものでした。
『プライベート・ライアン』(1998)が伝えること、主題とはなんなのか?
『プライベート・ライアン』(1998)が戦争映画であることは間違いありません。
では、本作は反戦映画なのか、主戦映画なのか。
答えはどちらでもないと思います。
本作はただ戦争の現実、生々しい戦争を観せたと言えるでしょう。
それこそが本作の主題だったのではないかと。
現代では戦争を知っている人(戦争体験者)が少なくなってきており、今後、戦争を伝えていくのはこのような戦争映画になるはずです。
戦争を伝えていく意味でも、本作のような戦争の現実を描いた映画を作っていく必要があるのではないでしょうか。
アパムはむかつくクズ野郎?
アパムというキャラクターは多くの人に憎まれているようです。
仲間を助けにいかなかったり、参戦せず隠れていた行動がその原因と言えます。
もともとアパムは、地図作成や情報処理を担当しており、実戦経験はありませんでした。
いきなり戦場に連れ出されたのは酷というもの。
不慣れな戦場で極度な緊張状態と恐怖心があったのだと推測できます。
捕虜を撃ち殺すのは違反だと言って止める行為をしていたので、性格は優しいのでしょう。
攻撃的な性格ではない点、不慣れな戦場による緊張状態と恐怖心が、クズ野郎と映ってしまったと言えます。
『プライベート・ライアン』(1998)の原題・タイトルの意味とは?

戦場の兵士:ⓒParamount Pictures/DreamWorks
原題の『Saving Private Ryan』は、『ライアン二等兵の救出』という意味です。
ちなみにPrivate(プライベート)とは、アメリカ陸軍の階級名称のこと。
二等兵、及び、一等兵の意味があります。
つまり本作の目的(作戦)を表したタイトルになっています。
『プライベート・ライアン』(1998)の原作や元ネタとは? 映画と現実を比較

戦場の兵士:ⓒParamount Pictures/DreamWorks
『プライベート・ライアン』(1998)の原作と元ネタ
『プライベート・ライアン』(1998)のライアンにはモデルになった人物がいました。
その人物とはフレデリック・ナイランド三等軍曹。
フレデリック・ナイランドには3人の兄がいたのですが、3人とも戦死。
フレデリックは自力で復帰したそうで、本作のような救出隊に保護されたという事実はありません。
救出劇は実際には起きませんでしたが、フレデリックはライアンという人物を描くのに大きな影響を与えたようです。
【比較】『プライベート・ライアン』(1998)の現実と映画の違いは?
『プライベート・ライアン』(1998)の現実と映画には、いくつかの違いがありました。
ここではその違いについて紹介していきます。
・最後の戦いが行われたフランスのラメールという街は、架空の街であり、イギリスのスタジオに作られた
・冒頭のオマハ・ビーチ上陸作戦のシーンはフランスではなく、アイルランドで撮影された
・ライアン救出は現実では起きなかった
以上の違いがありました。
この映画の核であるライアン救出が実際に行われていなかったのは、意外だったのではないでしょうか。
また、あれだけのリアルな戦場をスタジオで作ったのも驚きです。
【なぜ?】『プライベート・ライアン』(1998)の疑問や魅力を解説

戦場の兵士:ⓒParamount Pictures/DreamWorks
ここでは『プライベート・ライアン』(1998)の疑問や魅力を解説していきます。
下記の内容を中心にそれぞれ具体的に見ていきましょう!
①:なぜたった1人のライアンのために救出作戦が決行されたのか?
②:アパムがメリッシュを助けられなかった理由
③:アパムがドイツ兵に殺されなかった理由
④:アパムが最後に戦った理由
⑤:ノルマンディー上陸作戦とはなんなのか?
『プライベート・ライアン』(1998)の解説①:なぜたった1人のライアンのために救出作戦が決行されたのか?
当時は「ソウル・サバイバー・ポリシー」というアメリカ合衆国陸軍省に導入された制度があったそうです。
1948年に制定され、兵役による戦闘任務に参加している家族(複数人兄弟)が戦死した場合に、生存する最後の息子を保護するという制度。
ライアンは4人兄弟なのですが、3人の兄が戦死してしまいました。
息子全員を失うと家族は働き手を失うことになり、さらに家系も断絶することになってしまいます。
そうした事態に対する世論(国民)の反発を防ぐため、救出を命じたと言われています。
つまり、国民の支持率を優先したということ。
たった1人の救出作戦には、政治的要因があったというわけです。
『プライベート・ライアン』(1998)の解説②:アパムがメリッシュを助けられなかった理由
アパムは、地図作成や情報処理を担当しており、実戦経験はゼロ。
不慣れな戦場で極度な緊張状態と恐怖心により、体が動かなかったのではないでしょうか。
死と隣り合わせの戦場、しかも初めての戦場で、俊敏に動き、敵を殺しまくるのは難しいのではないかと思います。
『プライベート・ライアン』(1998)の解説③:アパムがドイツ兵に殺されなかった理由
アパムがドイツ兵に殺されなかった理由は、アパムがあまりにも怯えていたため、ドイツ兵は「攻撃されることはない」と感じ、素通りしたのだと思います。
「殺す価値もない」とも思っていたのではないでしょうか。
また、もう1つ考えられるのは、ドイツ兵はアパムが助けたドイツ兵だったため、借りを返すという意味で殺さずにいたとも考えられます。
ただ、助けたドイツ兵に似ているというだけで、同一人物であるとは確認できません。
『プライベート・ライアン』(1998)の解説④:アパムが最後に戦った理由
アパムは自分自身が助けたドイツ兵を最後に射殺します。
唯一、アパムが戦ったシーンになりました。
アパムは責任を取ったと言えます。
アパムが逃がしたせいで、結果的にそのドイツ兵にミラー大尉は撃たれてしまい、死んでしまいます。
また、もう一度命乞いをしたこと(こいつなら簡単に助けてくれるという態度)に対して怒りもあったのではないでしょうか。
戦場の兵士として一皮剥けたシーンだったと言えます。
『プライベート・ライアン』(1998)の解説⑤:ノルマンディー上陸作戦とはなんなのか?
ノルマンディー上陸作戦は、第二次世界大戦中、ナチスドイツに占領されたヨーロッパ諸国を解放するために連合軍が行った侵攻作戦です。
200万人もの兵士が投入されましたが、ドイツ軍の激しい攻撃により、多くの戦死者を出す結果となりました。
最も激戦を極めたオマハビーチでは、上陸部隊の約半数が戦死したと言われています。
しかし、2ヵ月の戦闘の後、連合軍がドイツ軍を撃退し、ノルマンディー地方の制圧に成功。
ドイツを敗戦に追い詰めていったされる歴史的な作戦になりました。
ちなみにノルマンディーとはフランスの北部にあるエリアのことです。
『プライベート・ライアン』(1998)の最後は? ラストシーンや結末を解説

老人になったライアン:ⓒParamount Pictures/DreamWorks
『プライベート・ライアン』(1998)の結末・ラストシーン
『プライベート・ライアン』(1998)の最後は、老人になったジェームズ・ライアンが家族を連れて、ノルマンディー米軍英霊墓地に眠るミラー大尉の墓にお参りする最後となりました。
ライアンはミラー大尉の墓に向かって語りかけ、最後に敬礼をします。
ミラー部隊のその後、現在は?
ミラー部隊の現在については描かれていません。
分かるのは最初と最後に登場するジェームズ・ライアンのみ。
ライアンには妻、子供、孫がいて、幸せそうな家庭を築いたことが分かります。
『プライベート・ライアン』(1998)の最後の解釈と考察
最後では、老人になったジェームズ・ライアンが多くの子孫を残したことが分かります。
ライアンはミラー大尉に助けられた命を無駄にしないためにも、懸命に生きた証が子供であり、孫だった。
これは第二次世界大戦を戦った彼らが繋いだ命を象徴していると言えます。
「懸命に繋がれた命に感謝して生きなさい」というメッセージが込められているのではないかと感じました。
【レビュー】『プライベート・ライアン』(1998)の評価・評判

ジェームズ・ライアン:ⓒParamount Pictures/DreamWorks
【つまらない?】低評価のレビュー
『プライベート・ライアン』(1998)にはどのような低評価があるのでしょうか。
映画レビューサイトをまとめてみると、
という低評価レビューがありました。
戦闘シーンがあるのは、最初と最後だけなので、確かに退屈してしまうのも理解はできます。
もう少しシーンをカットすれば、中だるみしなくても済んだのではないかと。
物語の抑揚という点から見ると、評価は低くなってしまうでしょう。
【面白い?】高評価のレビュー
『プライベート・ライアン』(1998)にはどのような高評価があるのでしょうか。
映画レビューサイトをまとめてみると、
という高評価がありました。
やはり戦争の現実を生々しく描いた点については評価が高いようです。
また、スティーヴン・スピルバーグ監督の手腕を高く評価するレビューも多くありました。
日本の映画レビューサイト映画.comの点数は5点満点中4.0という高評価に。
全米で2億1000万ドルの興行収入、映画賞の受賞歴から見ても、本作は戦争映画の名作にふさわしいのではないかと思います。
『プライベート・ライアン』(1998)の総合評価:戦争のリアルを描いた戦争映画の名作!

ミラー大尉:ⓒParamount Pictures/DreamWorks
迫力のある映像と音響でリアリティのある戦争を描いた『プライベート・ライアン』(1998)。
改めて戦争の過酷を知ることができました。
本作を観て戦争について考えるのも良いのではないのでしょうか。
戦争はもう映画だけの世界であることを願います。
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