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映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の感想と考察!原作との違いやロケ地とは?残念と言われる評価も解説!!

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)は、クラシックピアノの国際コンクールに懸ける4人のピアニストを描いた音楽映画です。

原作は直木賞&本屋大賞W受賞を果たした恩田陸の小説。

日本アカデミー賞で7冠を獲得した他、多数の映画賞を受賞しました。

ピアノの旋律が印象的な『蜜蜂と遠雷』(2019)について、感想と考察、原作との違いやロケ地、残念と言われる評価も解説していきます!

【『蜜蜂と遠雷』(2019)の評価】

項目 評価 点数
知名度 ★★★★★ 90点
配役/キャスト ★★★★☆ 80点
ストーリー ★★★☆☆ 65点
物語の抑揚 ★★★☆☆ 65点
音楽 ★★★★☆ 85点
ピアノ ★★★★★ 90点

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の作品情報


蜜蜂と遠雷

製作年 2019年
原題 蜜蜂と遠雷
製作国 日本
上映時間 118分
ジャンル ドラマ
監督 石川慶
脚本 石川慶
原作 蜜蜂と遠雷
主要キャスト 松岡茉優(栄伝亜夜)

松坂桃李 (高島明石)

森崎ウィン(マサル・カルロス・レヴィ・アナトール)

鈴鹿央士(風間塵)

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の概要

栄伝亜夜:Ⓒ東宝

3年に1回開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

そこには才能あるピアニストが集結していた。

かつて神童と呼ばれた栄伝亜夜、一児の父である高島明石、「ジュリアードの王子様」ことマサル・カルロス・レヴィ・アナトール、そして今は亡き“ピアノの神”が残した天才児・風間塵。

ピアノを通し、互いに影響を与えて成長していく彼ら。

選ばれし者が集まるコンクールで優勝を勝ち取るのは、一体誰なのか。

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の感想と考察

高島明石:Ⓒ東宝

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の感想

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)はピアノのコンクールを舞台にしているだけあってピアノの美しい旋律が印象的な映画でした。

ピアノを実際に演奏しているのは、日本最高峰と呼ばれるピアニストたち。

まさに圧巻の演奏でした。

ピアノの旋律はもちろん、超絶技巧の指の動きは芸術の域を超えています。

クラシックピアノが好きな人だけでなく、詳しくない人でもその音に魅了されてしまうでしょう。

特にラストで演奏される亜夜のオーケストラと協奏する本選はダイナミックな音色と美しさに聞き惚れること間違いなし!

一方でストーリーやキャラクターはやや薄い感じがしました。

というのも、メインは亜夜なのですが、明石、塵、マサルも描いているため、ストーリーがブレるという印象です。

原作を2時間の映画に収めようとすると、省かなければいけない箇所が出てくるためどうしても薄くなってしまったのでしょう。

しかし、演者の演技(ピアノの演奏を含め)は素晴らしいです。

その証拠に、日本アカデミー賞で松岡茉優が優秀主演女優賞を、鈴鹿央士と森崎ウィンが新人俳優賞を受賞しました。

本作は、ピアノの美しい旋律と俳優陣の演技に注目!

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の考察

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)では、「才能とは何か」を問いかけています。

原作者の恩田陸はプレジデントウーマンのインタビューで

才能というのは「続けられる」ことだと思うんです。

すべての仕事に共通していますよね。

ある意味の鈍感さ、しぶとさを持った人が才能のある人です。

と語っています。

本作では亜夜、明石、塵、マサルという4人の天才ピアニストが描かれました。

彼らは辛い時期があったにせよピアノを諦めず、続けてきたからこそ国際コンクールにでるほどの腕前になったと思います。

もう一つ、才能には「好き」も大きく関わっていると思います。

いや、「好き」こそ最大の才能と言えるのではないでしょうか。

なぜなら好きでなければ、続けられないと思うからです。

劇中の亜夜と塵のやりとりで、「ピアノが好き」とお互いに明かすシーンがありました。

塵はどれだけピアノが好きかを語ったシーンが印象に残ります。

その「好き」という感情が個人の技術を伸ばし、才能を大きくしていくのだろうと本作を観て感じました。

自分なりに「才能とは何か」を考えながら観てみると面白いかと思います。

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の原題・タイトルの意味とは?

マサル・カルロス・レヴィ・アナトール:Ⓒ東宝

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の原作にはこのような表現があります。

明るい野山を群れ飛ぶ無数の蜜蜂は、世界を祝福する音符であると。

そして、世界とは、いつもなんという市場の音楽に満たされて居たことだろう。

原作で風間塵は「蜜蜂王子」とも呼ばれています。

つまり、蜜蜂とは風間塵を指すのではないでしょうか。

一方、「遠雷」は

遠いところで、低く雷が鳴っている。

冬の雷。

何かが胸の奥で泡立つ感じがした。

塵の師匠であるホフマンの言葉の真意を探し、街をうろついていた時にあった描写です。

つまり「遠雷」はホフマンのことを指すのではないでしょうか。

また、「世界は音楽で満ち溢れている」という言葉も気になります。

蜜蜂は生物の音であり、遠雷は自然の音。

世界は生物と自然で構成されているわけです。

まさしく「世界は音楽で満ち溢れている」ということになります。

つまり『蜜蜂と遠雷』とは、音楽の偉大さ(世界は音楽で満ち溢れていること)を伝え、音楽に対して敬意を込めたタイトルにしているのかもしれません。

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の原作や元ネタとは? 文庫版小説と映画版との比較

風間塵:Ⓒ東宝

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の原作と元ネタ

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の原作は、2016年に幻冬舎より刊行された恩田陸の小説です。

原作は史上初の直木賞&本屋大賞をW受賞し、累計発行部数134万部を超えるベストセラー。

単行本は上下二巻に分かれています。

2019年には続編となる『祝祭と予感』も刊行されました。

原作者の恩田陸は、

この小説は絶対に小説でなければできないことをやろうと決心して書き始めたもの

と語っています。

【比較】映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の原作小説と映画版との違いは?

映画版では登場人物それぞれの気持ち、葛藤、成長があまり見られず、バックグラウンドも薄くなっています。

原作はかなりボリュームがあるので、全てを詰め込む尺はなかったのでしょう。

また、メインキャラクター以外では違いが見られました。

指揮者の小野寺は、映画版では高圧的な人物となっています。

原作ではメインキャラとなる「奏」は映画版では登場しませんし、逆に映画で出てくる片桐はいりのクローク役は原作では登場しません。

他には、音楽シーンとしての見せ場を、映画版では二次予選の「カテンツァ」と本戦の「オーケストラとの合奏」に絞り込んでいるのも大きな違いと言えます。

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の現実との違い

バルトークのピアノ協奏曲第3番ホ長調を本選で選んでくる出場者は、国際的には極めて少ないのだそう。

しかし予選会については、現実との大きな違いはありません。

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)のロケ地は?

明石、亜夜、マサル、塵:Ⓒ東宝

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)のロケ地を一覧で紹介していきます。

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)のロケ地

・武蔵野音楽大学バッハザール

・武蔵ホール

・栃木県佐野市文化会館

・東京都江東区

・オンダ楽器(栃木県佐野市)

・広州屋(栃木県佐野市)

・千葉県南房総市

本作のロケ地は、関東(埼玉県入間市、栃木県佐野市、東京都内)で行われています。

本作のメイン舞台となる芳ヶ江国際ピアノコンクールが行われたロケ地は、武蔵野音楽大学バッハザール。

ここは映画『羊と鋼の森』(2018)など他の作品でもロケ地として多く使われています。

撮影終了後は日本だけでなく、ポーランドでも映像の仕上げが行われたそう。

【なぜ?】映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の疑問を解説

明石と亜夜:Ⓒ東宝

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の解説①:実際に演奏したピアニストを紹介!

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)では、数々の国際コンクールで優勝を誇る日本のトップピアニストが実際に演奏しました。

ここでは、実際に演奏したピアニストを紹介していきます。

栄伝亜夜の演奏を担当したピアニスト

栄伝亜夜の演奏を担当したピアニストは、河村尚子。

1981年生まれ、兵庫県西宮市出身。

ミュンヘン国際コンクール第2位、クララ・ハスキル国際コンクール優勝など数々のコンクールで入賞。

文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞も受賞しています。

高島明石の演奏を担当したピアニスト

高島明石の演奏を担当したピアニストは、福間洸太朗。

1982年生まれ、東京都国分寺市出身。

20歳でクリーヴランド国際コンクール優勝(日本人初)およびショパン賞を受賞。

CDは10枚以上リリースしており、国内外のオーケストラと多数共演しています。

マサル・カルロス・レヴィ・アナトールの演奏を担当したピアニスト

マサル・カルロス・レヴィ・アナトールの演奏を担当したピアニストは、金子三勇士。

1989年生まれ、群馬県高崎市出身。

6歳で単身ハンガリーに渡りバルトーク音楽小学校に通います。

バルトーク国際ピアノコンクール優勝をはじめ、出光音楽賞、ホテルオークラ音楽賞など数々の賞を受賞しています。

風間塵の演奏を担当したピアニスト

風間塵の演奏を担当したピアニストは、藤田真央。

1998年生まれ、東京都出身。

18歳で第27回クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝。

世界3大コンクールの一つ、チャイコフスキー国際コンクールで第2位になるなど、数々の国際コンクールで入賞しています。

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の解説②:芳ヶ江国際ピアノコンクールが注目を集めていた理由とは?

芳ヶ江国際ピアノコンクールが注目を集めていた理由は、優勝者が後に著名コンクールで優勝することが続いているから。

前回の優勝者が翌年に世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝したため、大きな注目を集めていました。

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の解説③:「音を外へ連れ出す」という約束の意味とは?

「音を外へ連れ出す」とはすなわち、「自分の感情、自分の音楽に対する解釈を表現して伝える」ことだと思います。

つまり、自分の内側で鳴っている音をピアノを通して外に出す。

音楽というものは、聴く人がいて初めて存在するものと言えるのではないでしょうか。

そして、その音楽に共感なり、感動なりする人がいることで音楽の価値は高まります。

「音を外へ連れ出す」という約束は、簡単に言えば、「立派な表現者(演奏者)になる」という約束なのではないかと思います。

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の解説④:優勝者はだれ?なぜ優勝することができたのか?

芳ヶ江国際ピアノコンクールの優勝者は、マサル・カルロス・レヴィ・アナトールです。

なぜマサルが優勝することができたのかは、誰よりも優れた演奏をしたからです。

演奏に対する技術的なことや表現はプロの審査員でしか分からないかと。

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の最後は? ラストシーンや結末を解説

塵と亜夜:Ⓒ東宝

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の結末・ラストシーン

亜夜は本選から逃げ出そうとします。

しかし、トラウマを克服して本選の舞台に上がりました。

そして、プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番Op.26を見事に弾きます。

大歓声の後、芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査結果が字幕で表示されるというラストになりました。

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の最後の解釈と考察

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の最後は、亜夜の本選ということで一番の見どころ。

トラウマを克服した亜夜が一体どのような演奏を見せるかに注目が集まります。

肝心の演奏はと言うと、圧巻の一言。

オーケストラとの合奏ということもあり、ピアノの独奏よりは豪華な音色になっていました。

上手くピアニストを演じた松岡茉優も素晴らしいですし、実際に演奏をした河村尚子の腕も素晴らしいです。

ピアノの国際コンクールを舞台にした本作にふさわしい最高のラストになっていたと思います。

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)のその後、現在は?

芳ヶ江国際ピアノコンクールの後も彼らはピアノを続けていくでしょう。

特に芳ヶ江国際ピアノコンクールで復活を果たした亜夜と彗星のごとく現れた塵は、これからが楽しみな存在です。

おそらく他の国際ピアノコンクールで入賞していくでしょう。

一方、本選に出場できなかった明石は、コンクールに参加しないもののピアノは続けていくと思います。

ピアノの先生になって新たな才能を生み出す人になるかもしれません。

【レビュー】映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の評価・評判

塵と亜夜:Ⓒ東宝

【つまらない?】低評価のレビュー

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の低評価はどのようになっているのでしょうか。

映画のレビューサイトをまとめてみると、

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の低評価レビュー
Filmarks:★☆☆☆☆ 0.5
「原作を読んで、映画化に期待し見ましたが最悪でした。原作とはかけ離れた脚本で、原作の良いところが完全に殺されています。」
映画.com:★☆☆☆☆ 1.5
「各キャラクターが抱えている心情が殆ど書かれていないので、何で「今、こういう事をしているのか」などが伝わってこない。」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★★★☆☆ 3.0
「ひとりひとりの天才ぶりがいまいち伝わってこず、淡々と終わった印象。」

という低評価レビューがありました。

「感情移入できない」「キャラクターが薄い」という低評価レビューが多かったです。

また、「原作とかけ離れている」という低評価レビューも多数。

原作ファンからすると、あまり良い評価を得られていないようです。

【面白い?】高評価のレビュー

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の高評価はどのようになっているのでしょうか。

映画のレビューサイトをまとめてみると、

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の高評価レビュー
Filmarks:★★★★☆ 4.5
「映画の中でピアノコンサートが行われている場面があるのですが、演奏が終わったときに映画の中の観客と一緒に私もつい拍手をしてしまいました。」
映画.com:★★★★☆ 4.0
「演奏シーンは実際にコンサートで聴いている錯覚に陥るほど、音響効果抜群でもう最高でした!」
Rotten Tomatoes(海外の評価):★★★★★ 5.0
「音楽も映像もストーリーも登場人物も、きれいで感動しました。」

という高評価レビューがありました。

高評価で特に多かったのが「ピアノの演奏シーン(音楽)」と「きれいな映像」。

また、天才たちの葛藤や成長を描くドラマも高評価です。

本作は原作を読んでいないほうが楽しめるかもしれません。

日本の映画レビューサイト映画.comの点数は5点満点中3.6という結果になりました。

映画『蜜蜂と遠雷』(2019)の総合評価:ピアノに人生を懸けた天才たちを描くヒューマンドラマ

亜夜:Ⓒ東宝

卓越したピアノの演奏と美しい映像で魅了した映画『蜜蜂と遠雷』(2019)。

日本のトップが奏でるコンサートは本当に素晴らしかったです。

ピアノの演奏を聴くだけでも観る価値あり!

本作の原作を読んでいないかたはぜひ読んでみることをおすすめします。

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