
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)は、老人として生まれて、成長するに連れて年齢が若返っていく人生を送った男を描いた物語です。
監督は『ゴーン・ガール』(2014)『ゾディアック』(2006)など数々の名作を生んだデヴィッド・フィンチャー監督。
主演は『オーシャンズ11』(2002)や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)を務めたブラッド・ピットが演じています。
本作品はアカデミー賞で主演男優賞、監督賞などを含め全13部門ノミネートされ、3部門受賞している名作です。
一体何故ここまで評価されたのでしょうか。
本記事では、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)のトリビアや考察、あらすじ、結末をネタバレを交えながら解説していきます。
目次
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)の作品情報とキャスト
作品情報
原題:The Curious Case of Benjamin Button
製作年:2008年
製作国:アメリカ
上映時間:167分
ジャンル:ドラマ、恋愛、SF
監督とキャスト
監督:デヴィッド・フィンチャー
代表作:『ゴーン・ガール』(2014)『ゾディアック』(2006)
出演者:ブラッド・ピット/吹替:山寺宏一(ベンジャミン・バトン)
代表作:『オーシャンズ11』(2002)『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)
出演者:ケイト・ブランシェット/吹替:塩田朋子(デイジー・フューラー)
代表作:『ギフト』(2000)『アビエイター』(2004)
出演者:ティルダ・スウィントン/吹替:高島雅羅(エリザベス・アボット)
代表作:『ドクター・ストレンジ』(2016)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)のあらすじ

ベンジャミンとデイジー© 2008 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
第一次世界大戦が終わった頃、トーマス・バトンは赤子を授かり、産んだ妻は死亡した。
トーマス・バトンは赤子の醜い姿にショックを受け捨てる。
子供を授けられない体のクイニーはその赤子を拾って助けた。
クイニーは赤子を医者に見せると、赤子は生まれてから老人のような体なので、長くは生きられないと言われる。
赤子はベンジャミンと名付けられた。
老人ホームで働くクイニーは、他の老人たちと一緒にベンジャミンを育て始める。
ある日、ベンジャミンは老人ホームの入居者の孫であるデイジーに出会う。
ベンジャミンはデイジーのことが気になり、デイジーもまたベンジャミンが他の老人とは違うと気づき興味を持った。
やがてベンジャミンは歳を重ねるにつれ、自分の体が若返っていくことに気づく。
【泣ける?】『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)の感想と考察

ベンジャミンが老人の体© 2008 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)の感想
脚本家のエリック・ロス色が強かった
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)の脚本家は『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)の脚本を務めたエリック・ロスが務めています。
そのため、誰かが一人の人生を語って、現在と過去のシーンを行ったり来たりする点では演出の仕方が一緒でした。
また、大事件があるわけでもなく静かに時間が過ぎていくような演出も、エリック・ロス特有のものだったと感じます。
一人の運命的な人生を、ここまで綺麗にまとめあげた表現は『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)同様素晴らしいものでした。
時計のシーンはいらなかった
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)のストーリー展開は娘が日記を遡ってベンジャミンの人生を追うというものでしたが、一番はじめに時計の話が出てきます。
ある時計職人は息子が戦争に行って死んだことを後悔して、時間が戻ればと考え逆向きに回る時計を作りました。
このシーンはベンジャミンが若返ることと紐付けたいのでしょうが、いまひとつ関係性が薄くそのシーンはいるのか疑問でした。
また、戦争がなかったように時間を戻すというのと、若返るというのは表現の意味合いも違う気がします。
実際に時計の話がなくてもストーリーは完結できました。
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)の考察
ベンジャミンは生まれてからどんどん若返っていく人生でしたが、演出はロマンスに多く焦点があたっていたので、若返ることに関してのメリットやデメリットはそれほど書かれていません。
若返る人生のメリットデメリットは何なのでしょうか。
より作品を楽しむことができると思うので、それぞれ考察してみました。
若返っていく人生のデメリットはなに?
老人から生まれてくるデメリットとしては、体と頭がついてこないことでしょう。
老人の体のときベンジャミンは生まれて間もないので、心は少年です。
普通の少年なら全てのものに関心があり、何でも触ったり、走り回ったり好奇心に対して体も元気いっぱいの状態でしょう。
しかし、ベンジャミンの場合いろいろなものを知りたいと思っても体が追いつかないので、自由に動き回ることができないのです。
それを証拠にベンジャミンは若返るのと同時に船に乗ったり旅を多くしたり、人より好奇心旺盛に行動をしていました。
若返っていく人生のメリットはなに?
若返るメリットは死ぬ恐怖が少ないということでしょう。
ベンジャミンは体が少年になった頃に認知症になりました。
普通死ぬときに老人は自分の老いを感じていき死んでいきます。
しかし、ベンジャミンの場合途中認知症になり、自分の人生がどのようなものだったか、わからなくなっていました。
そして赤ちゃんになりすっかり子供になった頃もう離せない、自分でご飯が食べれないくらい自我がない状態になります。
ベンジャミンには普通の人と比べ、死に向かう感覚を感じるときに体と心がずれているので、恐怖が少なかったと感じました。
【ネタバレあり】『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008) は実話?原作や元ネタを紹介

デイジーと子供のベンジャミン© 2008 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)は実在する?実話なのかを解説
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)は実話ではなくこのような病気はありません。
しかし、モデルになった原作はあります。
原作は1922年に執筆されたF・スコット・フィッツジェラルドによる短編小説で、F・スコット・フィッツジェラルドは「グレート・ギャッツビー」を執筆した著者として有名です。
この「グレート・ギャッツビー」も『華麗なるギャツビー』(2013)として映画化されています。
原作者が同じ人なだけあり、本作品の静かな雰囲気と非常に似ている作品です。
モデルとなった人物、原作と映画版との違いを解説
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)で描かれた病気はないため、モデルになった人物は実在しません。
プロジェリア症候群という、赤ちゃんのときから老けた見た目で生まれてくる病気はありますが、若返りはしません。
また、本作品は原作と大きく異なる作品として有名です。
例えば原作ではベンジャミンは父親に捨てられますが、原作ではそのまま家で育てられます。
他に大きな違いとしては、本作品で最終的にベンジャミンはデイジーと結ばれて、デイジーの腕の中で亡くなりますが、原作ではあっさり別れてしまい、ベンジャミンはそのまま一人実家で亡くなります。
原作の方が少し残酷で救いがない話のため、本作品のような感動はありません。
そこは脚本家のエリック・ロスの力によるものでしょう。
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)の疑問やトリビアを解説

ベンジャミンとデイジーが鏡の前で立っている© 2008 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)は受賞歴やノミネートなどいくつも受賞しています。
今回は本作品の受賞歴とノミネートを挙げていきます。
まずは受賞歴です。
受賞歴
アカデミー賞 美術賞
アカデミー賞 メイクアップ賞
アカデミー賞 視覚効果賞
など全14個も受賞歴があります。
続いてノミネートです。
ノミネート
アカデミー賞 作品賞
アカデミー賞 監督賞
アカデミー賞 主演男優賞
など全46個のノミネート歴があります。
鏡のシーンで鏡が果たす役割を解説
ベンジャミンとデイジーが出会って21年が経った頃に、デイジーはダンス教室を開き始めました。
デイジーはベンジャミンが1918年生まれで49歳、デイジーは43歳だから同じ歳くらいだということに気づきます。
ベンジャミンはこの姿を目に焼き付けておきたいと、ベンジャミンとデイジーが鏡の前で並んでしっくりそれを眺めるのです。
実は本作品で鏡が出てきたのはこのシーンが最初で最後でした。
ベンジャミンはどこか、自分の若返っていく体にコンプレックスがあったのかもしれません。
しかし、デイジーと同じ歳くらいになったベンジャミンは、鏡をじっくり見ます。
この姿こそが、本作品の中でベンジャミンにとっての信じたかった事実なのかもしれません。
赤ちゃんや老人顔の特殊メイクについて解説
ベンジャミンの老人の顔も含め本作品は、ベンジャミンはブラッド・ピッドが全て演じています。
それによりベンジャミンは老人から赤ちゃんまで描かれていますが、しっかり一人の人生という統一感がありました。
この老人顔のベンジャミンは特殊メイクで、頭の部分は小さくするCGが組み合わされています。
この特殊メイクをするためにブラッド・ピッドは毎朝3時に起きたそうです。
【ネタバレあり】『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)の最後は? ラストシーンや結末を解説

デイジー© 2008 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)のラストシーンについて解説していきます。
デイジーの夫のロバートが亡くなってしばらく経った頃、デイジーのもとに老人ホームから電話がかかってきました。
老人ホームにいたのは、すっかり少年の姿になったベンジャミンでした。
ベンジャミンは認知症になってしまい、デイジーのことや今までのことも全て忘れています。
デイジーは老人ホームに通い、ベンジャミンの様子をみにいっていました。
ある日、ベンジャミンは老人ホームの屋根の上に登り、好奇心で屋根から跳ぼうとします。
ベンジャミンが5歳の頃に、デイジーも老人ホーム引っ越します。
2003年春に、ベンジャミンはデイジーの腕の中で、デイジーのことを思い出し静かに目を閉じ、息を引き取りました。
そのことを語っていたデイジーも話を終え、娘が席を立ったタイミングで息を引き取ります。
その時、ハチドリが病室のところに来ていました。
そして、ベンジャミンが関わった人々が映し出され、撤去された時計が逆向きに回り、話は終わりです。
デイジーを愛していながらも、デイジーのために離れたベンジャミンが、最後デイジーの腕の中で死ねたのはとても綺麗で美しいシーンでした。
また、デイジーの死の際に現れたハチドリに関してですが、作中「ハチドリは奇跡の鳥、羽ばたくときの羽の軌跡は無限大のマークをしている」と言っている描写があります。
このことから、物語を締めくくるデイジーの死、つまりこの物語は奇跡で、デイジーは死にますが新たな旅立ち、これからもその想いは続くということを意味しているのではないでしょうか。
それを証拠に最後写し出されたのは、撤去され反時計回りに動き続けている時計でした。
【レビュー】『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)の評価・評判

ベンジャミンが立った瞬間© 2008 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)の興行収入は3.358億ドルです。
本作品を映画レビューサイトから、低評価のレビューと高評価のレビューを両方比較してみました。
【つまらない?】低評価のレビュー
・語りに抑揚がなく飽きてしまった。
・CG以外とりたてて何もない映画だった。
・後半前半の丁寧さに比べピッチあげすぎだった。
後半はピッチが上がったという意見がありましたが、それはおそらく作品上の演出でしょう。
人の見た目というのは歳を取ってからよりも、若いときの方が大きく変わります。
歳を取れば取るほどシワは増えますが、見た目はあまり変わりません。
また、抑揚がないという意見もありましたが、それも作中のベンジャミンの立場を考えると納得できる演出です。
ベンジャミンは一番元気である、精神が若い頃は体が老いていて、自由があまりありません。
そして、体が若く元気なときは精神が老いています。
また、若い時期から老人と過ごしていたということもベンジャミンが落ち着いた性格で、本作品に静かな印象を与えている原因でしょう。
【面白い?】高評価のレビュー
・2時間40分に対して全く飽きずに、あっという間に時間が過ぎていった
・ブラット・ピット好きにはたまらない映画だった。
・良い意味で人生というものを考えさせてくれた。
本作品の上映時間に対して、映画が面白くまったく時間を感じなかったという意見が多くありました。
また、人とは違う運命を送りながら、前向きに生きて人生を謳歌しようとするベンジャミンとその周りの登場人物に対して、良い影響をもらったという方も多くいたみたいです。
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)のまとめ

ベンジャミンが成人の時© 2008 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)は、成長するにつれて若返っていく数奇な運命を辿った男を通じて、人生の素晴らしさを教えてくれる映画です。
映画自体は2時間40分と長編映画ですが、全く長さは感じないくらい引き込まれるおもしろい作品でした。
脚本家が一緒なだけあり、『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)のようなゆったりと一人の人生を追っていくようなストーリーが好きな方は満足できる作品です。
ロマンスの要素もあるので、恋人と観ても良いでしょう。
気になった方は、ぜひご覧になってみてください。
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