
将来に不安を抱えながらも、理想を追い求める若者たちの葛藤を描いた青春映画『ソラニン』(2010)。
浅野いにおの大ヒット漫画を映画化したとして、話題になりました。
また有名アーティストASIAN KUNG-FU GENERATIONが主題歌をつくるなど、ヒューマンドラマとしてだけでなく音楽の完成度もとても高い作品です。
本記事では『ソラニン』(2010)の感想と考察、原作やロケ地、主題歌の歌詞やストーリーを解説します。
項目 | 評価 | 点数 |
知名度 | ★★★★☆ | 80点 |
配役/キャスト | ★★★★☆ | 75点 |
ストーリー | ★★★★☆ | 85点 |
物語の抑揚 | ★★★★★ | 95点 |
音楽 | ★★★★★ | 95点 |
切なさ | ★★★★★ | 100点 |
目次
『ソラニン』(2010)の作品情報
製作年 | 2010年 |
原題 | ソラニン |
製作国 | 日本 |
上映時間 | 126分 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | 三木孝浩 |
脚本 | 高橋泉 |
原作 | ソラニン |
主要キャスト | 宮崎あおい(井上芽衣子)
高良健吾(種田成男) 桐谷健太(山田二郎) 近藤洋一(加藤賢一) |
『ソラニン』(2010)の概要

種田(C)浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会
社会人2年目の芽衣子は、会社への不満から勢いで会社を辞めてしまう。
芽衣子と同棲していた種田もそれに影響されるように、将来に不安を抱え始める。
種田は大学から月2回の練習だけを続けていたバンドを、本格的に活動させようと決意する。
デモCDをレコード会社に送った種田たちの元に、一つの会社から返答がきた。
しかしそれは自分たちの曲ではなく、グラビアアイドルのバックバンドとして活動を依頼だった。
不安に限界がきた種田は、芽衣子に別れを切り出す。
映画『ソラニン』(2010)の感想と考察

ロッチのメンバー(C)浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会
映画『ソラニン』(2010)の感想
これから映画『ソラニン』(2010)の感想を書いていきます。
本作品でぜひ注目していただきたいのは、ラストのライブシーンです。
宮崎あおいが素人から練習して弾くギターは、作品とマッチして本作品の世界観をうまく表現していました。
また、歌声も想像よりも力強く、サンボマスターの近藤洋一や桐谷健太の男らしい演奏ともぴったりです。
私は原作と映画の両方とも見ましたが、原作では活字の良さが、映画では音楽など映像としての良さがそれぞれありました。
あまりフォーカスされていませんが、ライブでソラニンを演奏する前の曲は、SUPER BEAVERの「ささやかな」という曲で、こちらも非常に良い曲なので注目です。
以上映画『ソラニン』(2010)の感想でした。
映画『ソラニン』(2010)の考察
ライブシーンの回想のシーンはいるのか?
『ソラニン』(2010)のライブシーンは途中、種田との出会いを思い出す回想が入ります。
レビューサイトではこの回想シーンがいらなかったという声が散見されました。
このシーンは本当に必要だったのでしょうか。
これは確実に必要なシーンでしょう。
なぜならソラニンとは別れの歌です。
そして種田との出会いを思い出したシーンを入れるということは、間接的に種田の死を乗り越えるということを意味しています。
今まで将来や自分のことがはっきりわからず、フワフワしていましたが芽衣子は種田の死とソラニンという別れの歌を一つの区切りとして前に進むのです。
このことからもライブシーンの種田との出会いのシーンは必要な要素でしょう。
【なぜ?】映画『ソラニン』(2010)の疑問を解説

芽衣子(C)浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会
映画『ソラニン』(2010)の主演を演じたのはだれ?
映画『ソラニン』(2010)の主演を演じたのは女優の宮崎あおいです。
バンドマンの種田を支えながらも自分の人生をどうにかしたい若者の姿を、見事に表現していました。
またラストシーンでは、芽衣子がライブを行うシーンがありますが、演技だけではなくギター演奏や歌も宮崎あおい本人が歌っています。
映画のためのギターを1から練習したようです。
実際に作品上も素人の芽衣子が練習をして、ライブを行うというものだったので、荒削りの雰囲気が作品の演出とぴったり当てはまっていました。
映画『ソラニン』(2010)にはアーティストが出演している?
種田が所属するバンド「ロッチ」ですが、実はこのベースを行っている加藤役は、有名アーティストのサンボマスターのベース近藤洋一が演じています。
実際にプロのアーティスト参加したことで、ラストシーンのバンド演奏や演出はかなり力になったようです。
もちろん実際にライブシーンでは近藤洋一本人が演奏しています。
またアーティストではないですが、ロッチのドラマー山田を演じた桐谷健太も特技がドラムです。
桐谷健太も生音で演奏しているので、ラストシーンの楽器演奏は全て役者本人が行ったことになります。
なぜ種田は死んだのか?
種田が死んだのは事故です。
レコード会社の事件から芽衣子と別れを告げ、5日間芽衣子の元を離れた種田はデザイン会社にまた務めなおしていました。
ミュージシャンになりたいのではなく、バンドがしたかっただけだと芽衣子に告げる種田は再び芽衣子に「二人で幸せになろう」に言います。
ここまでは種田が前向きになり、一つの決断ができたことが読み取れるでしょう。
しかしその帰り道に自分に「幸せ?」と自問自答するシーンによって、先ほどの芽衣子との会話は自分を納得させるように話していたことだとわかります。
思いがあふれた種田は、バイクの運転中に涙を流し信号無視をしたことで死にました。
なぜアジカンが主題歌を担当した?
原作の作者である浅野いにおがアジカンのファンだったことと、アジカンのボーカル後藤正文が浅野いにおのファンだったことから、アジカンが本作品の主題歌を担当しています。
主題歌はムスタングという曲で、アジカンがソラニンを見てインスパイアされた曲です。
種田が使っているギターがムスタングだということから、おそらくタイトルもムスタングと名付けられています。
映画『ソラニン』(2010)の原題・タイトルの意味とは?

種田と芽衣子(C)浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会
ソラニンの意味はジャガイモの目の毒のことを指します。
ソラニンというタイトルは、原作を執筆した浅野いにおの彼女がアジカンの新アルバムのタイトルと勘違いした言葉で、実際はそのアルバムはソラニンではなくソルファだったため、本作品ではソラニンを使用しました。
彼女がどうしてソラニンだと思ったのかわかりませんが、ソラニンの意味を辞書で調べた浅野いにおはソラニンがとてもいいと思ったそうです。
映画『ソラニン』(2010)の原作や元ネタとは?映画版との比較

芽衣子と加藤と山田(C)浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会
映画『ソラニン』(2010)の原作や元ネタ
映画『ソラニン』(2010)の原作は浅野いにおが執筆した漫画ソラニンです。
原作も映画と同じストーリーで、設定などもほとんど違いはありません。
漫画は2巻で完結する作品で、1巻は2006年に発行されました。
2010年には映画化されているので、かなり早いスパンで映画化決定と制作が決まっています。
ソラニンは60万部突破している大ヒット作品で、浅野いにおの作品は根強いファンが多いことで有名です。
中でも有名な作品は「おやすみプンプン」や「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」があります。
浅野いにお作品はネガティブな表現が多いですが、ソラニンは浅野いにお作品の中でも暗い表現は避けているそうです。
主題歌はASIAN KUNG-FU GENERATION(アジカン)の『ソラニン』
作中にでてくるソラニンという曲は、作中で死ぬ前に種田が作曲した曲です。
これは浅野いにおが書いた歌詞をアジカンの後藤正文が曲にしています。
つまりアジカンが歌っているソラニンが先ではなく、浅野いにおのソラニンが元となってできた曲がソラニンということです。
ちなみにこの歌詞は別れを歌った曲で、だらだら続いた日常には急に別れがくるというもの。
種田と芽衣子の関係と別れようとする種田の思いが書かれている曲です。
芽衣子は種田が出て行ったあとに、種田が最後に作った曲が別れの曲だと知りました。
【比較】映画『ソラニン』(2010)の原作と映画版の違いは?
『ソラニン』(2010)は非常に原作を忠実に再現した映画です。
登場人物の台詞などもほとんど変わりありません。
それは浅野いにおがソラニンを描いたときに、映像をイメージして描いたのも関係しているでしょう。
その中でも大きな違いとして、登場人物の心情の言葉が少ないということです。
浅野いにおの作品は台詞よりも、登場人物がなにを考えているか心の言葉の方が多く、それを忠実に再現すると非常にだらだらとした作品になってしまいます。
これを避けるために映画では台詞重視で、なにを考えているか心の言葉は最小限でした。
映画『ソラニン』(2010)の最後は?ラストシーンや結末を解説

種田と芽衣子の花火シーン(C)浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会
映画『ソラニン』(2010)の結末・ラストシーン
種田が死んだ弔いとして、芽衣子は種田の作った曲でライブをします。
芽衣子はソラニンを歌いはじました。
ソラニンを歌いながら芽衣子は、種田との出会いを思い出します。
ライブから3ヶ月後芽衣子は、加藤たちに手伝ってもらいながら引っ越しをしました。
今まで色々悩んできた芽衣子ですが、これからもただみんなと居れればそれで良いとそう思うのでした。
映画『ソラニン』(2010)の最後の解釈と考察
芽衣子は作中ずっと自分の人生について、なんともいえないもどかしさを感じていました。
それは自分将来を考えて、漠然と不安を感じるというもどかしさです。
しかし種田の死を乗り越えたことで、芽衣子は将来のことではなくみんなといられればいいという結論になりました。
それは芽衣子の目線が変わった証拠です。
今まで将来のことばかり考えていたのが、今どうするかを考えるようになった前向きに進む芽衣子を表現しています。
これは製作者がこの映画を通して、伝えたかったことでしょう。
映画『ソラニン』(2010)のその後は?
芽衣子はその後会社に入り、バンドを続けながら人生を進んでいくでしょう。
ラストシーンで今に目が向いたことで、今まで未来をよくするために考えて生きてきた生き方は変わるはずです。
また、一人になった芽衣子は引っ越しをしていますが、「みんな一緒に入れればいい」と言ったことからそれほど遠くに引っ越していないこともわかります。
そして引越しした後に種田のギターを背負っていることからも、これからもバンドを続けるという暗示です。
このことから芽衣子は会社をしながら、みんなとバンドをする生活をすると推察できます。
【レビュー】映画『ソラニン』(2010)の評価・評判

種田が死んで悲しむ(C)浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会
【つまらない?】低評価のレビュー
ゆるっと続くストーリーに対してテンポが悪いような、退屈さを感じてしまう人がいたようです。
しかしそれは作品上の演出でしょう。
種田たちは自分たちのなんとなく進んでいく生活に、どこか嫌気を感じていました。
それに対し種田や芽衣子は不安感に襲われます。
つまり作品上ふんわりとした雰囲気で話を進めることで、登場人物に感情移入しやすいように作られているのです。
【面白い?】高評価のレビュー
宮崎あおいが歌うラストのライブシーンに感動して、高評価を押している人が多かったです。
また、宮崎あおいの女優としての評価も高く、宮崎あおいの演技力に見惚れ作品自体を評価している人もいました。
確かに宮崎あおい率いるライブシーンは、生音とあって完成度がとても高かったです。
映画『ソラニン』(2010)の総合評価:切なさが残る感動の青春映画

ライブが終わり前を向く芽衣子(C)浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会
将来の不安を抱えた若者が、自分の理想と現実に葛藤する様を描いた映画。
ラストシーンのライブは全て役者本人が演奏していますが、荒削りな演奏が物語にもぴったりで心打たれるシーンでした。
また、宮崎あおいの歌唱力も必見です。
原作に対して忠実に再現されているので、原作ファンの方でも楽しむことができるでしょう。
気になった方は、ぜひご覧になってみてください。
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