
2019年のアカデミー作品賞にもなった『グリーンブック』(2019)。
今回は、そんな『グリーンブック』(2019)の名言・名セリフをまとめていきます。
胸に響く名セリフと名場面を振り返っていきましょう。
『グリーンブック』(2019)の名言・名セリフを紹介

『グリーンブック』(2019) ©Universal Pictures
これから『グリーンブック』(2019) の名言・名セリフを1つずつ紹介していきます。
『グリーンブック』(2019)の名言1.「オルフェスだ。地獄のオルフェス。ジェケットに描かれている子供じゃない。地獄の悪鬼だ。」

トニーとドン©Universal Pictures
南部ツアーに向かう運転手トニーと、音楽家ドンはレストランで食事をしていました。
お喋りのドンは、妻のドロレスがドニーのレコードを買ってきた話をします。
ドニーは"オーファン"と言いますが、正しくは”オルフェス”。冥界に言った男の話でオペラになったもので、ジャケットの絵をトニーは孤児と言いますが、
「地獄に住んでいる魔物だ。」
とドンは言います。
それに対し、
「地獄?よほどの悪ガキだ。」
とトニーは言います。
トニーはお喋りで、言葉が下品で読み間違えも多い人間でした。
『グリーンブック』(2019)の名言2.「親父によく言われたよ。何をするにも全力でやれ。仕事のときは仕事。笑うときは笑う。食うときは最後の食事だと思って食え。」

トニーとドン ©Universal Pictures
ケンタッキー州にやってきたトニーとドン。
トニーは本場のケンタッキーが食べられると大喜びでした。
服が汚れることが嫌いなドンは食べることを嫌がりましたが、トニーはドンに無理やりケンタッキーを食べさせ、その際に父の言葉をドンに言いました。
そして、
「骨はどうしたらいい?」
と聞くドンに、トニーは
「こうすんだ。これがルール。」
と、ケンタッキーの骨を外に投げ捨てることを教え、初めてここでドンは笑いました。
『グリーンブック』(2019)の名言3.「ニューヨークのナイトクラブで色々見てる。世の中って複雑だよな。」

トニー ©Universal Pictures
ドンはある日、白人男性と関係をもち、警察に捕まってしまいました。
その晩のことをドンが謝まった際に、気にすんなとトニーが言った言葉です。
ドンが服屋で試着室に入ろうとしたとき、黒人であることを嫌がる服屋の店員や、ドンがゲストとして招待されたコンサートの会場でお手洗いを探しているときに、黒人用のトイレを案内する白人。
ドンはこれまで黒人差別を受けてきました。
このトニーの名言は大変すばらしい。
どんな慰めより、きっとドンは救われたと思います。
いろいろな複雑なものや悪いものをたくさん見た彼だからこそ、彼は対等にドンを見ていました。
『グリーンブック』(2019)の名言4.「ありがとう。でも私のショパンを誰にも弾けない。」

ドン©Universal Pictures
2人はピアノについて話をします。
トニーはクラシックなんて弾かなくていい、自分流でいい、ショパンやベートーヴェンは誰にだって弾けると言いました。
それに対してドンが言った言葉です。
彼は自分を見失わず、信念をしっかりともち、すばらしい才能をもっていた誇り高き人間でした。
2人は次第に心を通わせていきました。
『グリーンブック』(2019)の名言5.「暴力では勝てないぞ。勝ちたいなら品位を保て。品位こそが全てに勝るんだ。」

ドン ©Universal Pictures
夜、雨の中道に迷ってしまったトニーとドンはパトカーに止められます。
トニーは警察官に「お前も半分ニガーか。(一般に黒人を指す蔑称として用いる言葉)」と言われたことに腹を立て、警察官を殴ってしまい、2人とも留置場に入れられてしまいました。
この言葉は何も学ばないトニーに怒りをもったドンの言葉です。
黒人というだけで迫害されてきたであろうドンが、暴力で反抗しても、おそらく白人には勝てないでしょう。
勝てないからこそ、威厳や品位を失わず強く生きてきたドンの今までの生き様は、行動からも想像できます。
『グリーンブック』(2019)の名言6.「黒人でもなくて、白人でもなくて、一体私は何ものなんだ!」

ドン©Universal Pictures
暴行罪をもみ消すために、司法長官に泣きつき、釈放させたことを人として最低だと言うドン。
「毎日侮辱されるのを自分は耐えているのに、なぜ一晩も我慢できないのか。」と言うドンとトニーは口論になり、ドンは怒って降りてしまいました。
そしてドンはこうも言いました。
「たしかに白人相手に演奏して、彼らの喝采を浴びるとも。だがステージから降りた途端、私はただの黒として扱われる。それが彼らの社会だから。」
実際ドン・シャーリーは、かなりの差別にあっていました。
「アメリカのオーディエンスは、黒人のピアニストがクラシックのピアノを弾くのをコンサートステージで見たくない。」とあるプロデューサーに言われました。
クラシックとジャズを融合した実験的なジャズを作り出し、ナイトクラブで演奏していましたが、実際には彼はそれが嫌だったそう。
お酒の入ったグラスをピアノの上に置いたりするが、嫌だと言っていたシーンも劇中にありましたし、彼の立ち振る舞いからもわかります。
『グリーンブック』(2019)の名言7.「寂しいときこそ一歩踏み出せよ。」

トニーとドン ©Universal Pictures
いつものようにトニーは妻に手紙を書いていました。
トニーはドンも、お兄さんに手紙を書いたらどうだと勧めました。
ですが、私の住所なら相手も知っていると言うので、
「そうやってずっと待つのか。」
とトニーは言った後にこの言葉を放ちました。
実際にはカミングアウトしたわけではありませんが、ドンが同性愛者だったのではと推測されるようなシーンが劇中にもありましたね。
ただでさえ黒人というだけで迫害されてきた彼は同性愛者ということが、彼にとって一歩を踏み出すことができない大きな理由だったことを示唆します。
今でこそ、カミングアウトがしやすい世の中ではありますが、それでも周りが認めてくれるかどうかで、言えるか言えないかということは変わってくるかと思います。
言える環境に身を置く勇気も大切だと教えてくれる映画です。
『グリーンブック』(2019)の名言8.「信念だよ。才能だけでは人の心は動かない。先人が示したその勇気こそが鍵なんだ。」

ドン ©Universal Pictures
6年前、ナット・キング・コールが、ドンがコンサートを行う同じ白人施設でショーを行いました。
彼は白人用のステージに初めて立った勇気ある黒人でしたが、彼が白人の歌を歌い出すと客の白人が怒り出し、彼を引きずり降ろし、袋叩きにしたそうです。
ドンが南部に来た理由をツアー同行者のチェリスト・オレグが語った際に言った言葉です。
きっと毎日差別を受けたドンは想像も絶するほど辛かったでしょう。
それでも、先人が示した勇気があったからこそ、彼は南部ツアーを行ったのです。
勇気が伝染することはすばらしいですし、そんな彼が作った歌もまた本当にすばらしいです。
『グリーンブック』(2019)の名言9.「君のあの石ならお守りになるんじゃないのか?使えるものは使おう。」

ドン ©Universal Pictures
大雪の中の帰り道、
「旅のお守りをもってくるべきだったな。」
と言うドンは、あの石ならお守りになるんじゃないかと言いました。
トニーはお土産店で地面に落ちていたヒスイの石をくすねたことがあり、ドンに戻して来いと言われ、戻したふりをしていたことをドンは知っていました。
ですが、またしても警察に呼び止められてしまいます。
お守りの効果もないのかと、このあとの悪い展開を考えた観客も多いのではないでしょうか。
しかし、いい意味で裏切られました。
ただ車が左に傾いていたので、パンクしているのではと警察官が止めてくれたのです。
パンクを教えてもらえて、実質ヒスイの石は幸運のお守りになりました。
『グリーンブック』(2019)の名言10.「素敵な手紙をありがとう。」

ドロレス ©Universal Pictures
無事に家についたトニーは、ドンの家のクリスマスパーティーに誘われます。
ドンは一度誘いを断りましたが、トニーの家に来ました。
そして妻ドロレスと初めて会いました。
「トニーを貸してくれてありがとう。」
と言ったドンにドロレスが、返した言葉です。
ドロレスは毎回家に送られてきたロマンティックなラブレターが、ドンの言葉だと言うことをわかっていたと最後にわかるこの言葉が『グリーンブック』(2019)のクライマックスのシーンです。
『グリーンブック』(2019)の名言・名セリフまとめ

『グリーンブック』(2019) ©Universal Pictures
劇中ではグリーンブックとは、「南部で黒人が泊まれる場所が書かれてハンドブック。」と言われていました。
しかし、実際は1930年代〜1960年代の人種隔離政策時代に自動車で旅行するアフリカ系アメリカ人を対象として、発行された旅行ガイドブックだったそうです。
つまりそんな時代にトラブルなく旅行をするためのハンドブックだったのです。
こういった人種差別がテーマの映画はたくさんありますが、『グリーンブック』(2019)が描く人種差別はかなりシンプルな方だと感じました。
近年映画は黒人を出すものが多く、人種差別ものも多いですが、一向に物事はよくなりません。
だからこそ、気づきを与えてくれる『グリーンブック』(2019)のような題材に対して観客側は考えていく必要性があると思います。
色が黒いとか白いということはそれほど重要なことなのかと今一度考えてみましょう。
『グリーンブック』(2019)、名言も踏まえた上で、ぜひご覧になってください!