『TIME/タイム』(2011)は、お金という資本が時間になった世界で繰り広げられるSFアクションサスペンス映画です。
監督は『ターミナル』(2004)・『トゥルーマン・ショー』1998)を手掛けたアンドリュー・ニコル監督。
「もし〜な世界だったら」というSF作品要素を作るのが得意な監督で、毎回作品を通していろいろな社会性や人生観について鑑賞者に問いかけてきます。
今作品もお金という資本が時間になった世界がテーマですが、作品を通して資本主義や格差社会、時間と命の関係についてなど多くを考えさせられました。
本記事では、『TIME/タイム』(2011)の考察や、あらすじ、結末などネタバレを交えながら解説していきます。
『TIME/タイム』(2011)の作品情報とキャスト
作品情報
原題:In Time
製作年:2011年
製作国:アメリカ
上映時間:109分
ジャンル:SF 、アクション、サスペンス
監督とキャスト
監督:アンドリュー・ニコル
代表作:『ターミナル』(2004)『トゥルーマン・ショー』(1998)
出演者:ジャスティン・ティンバーレイク/吹替:浪川大輔(ウィル・サラス)
代表作:『ステイ・フレンズ』(2011)『最高の人生の選び方』(2009)
出演者:アマンダ・サイフリッド/吹替:篠田麻里子(シルヴィア・ワイス)
代表作:『テッド2』(2015)『レ・ミゼラブル』(2012)
出演者:キリアン・マーフィー/吹替:内田夕夜(タイムキーパー・レイモンド・レオン)
代表作:『ダークナイト』(2008)『インセプション』(2010)
『TIME/タイム』(2011)あらすじ

ポーカーを行うウィル© 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. IN TIME Motion Picture Copyright2011 Regency
この世界では遺伝子操作により全ての人間が25歳で見た目などの成長が止まる。
時間がお金としての役割を果たし、自分の時間がなくなることが死を意味する。
また、この世界では時間が少なく日々死と隣り合わせの貧民たちが住むスラムゾーンと時間を持て余し永遠の命を持つ富裕層とゾーンと2つに区切られている。
ある日スラムゾーンで日々労働に追われる主人公ウィルは富裕層ゾーンから来たヘンリーと出会った。
105歳になるヘンリーは長寿により心が疲弊し死に場所を探していたのだ。
ヘンリーは自分の時間を狙うギャングから救ってくれたウィルに自分の寿命100年を全て与え死亡する。
時間を与えられたウィルはヘンリーから富裕層が世界の時間をコントールしていて、人口が増えすぎないようにあえて物価を値上げしたりバランスをとっているという事実を知る。
その事実を暴くために富裕層のゾーンに行くウィル。
しかし、100年の時間を持つことでヘンリー殺害の容疑がかかっており、時間監視局から追われる身となる。
『TIME/タイム』(2011)の感想

時間が奪われたウィルとシルヴィア © 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. IN TIME Motion Picture Copyright2011 Regency
『TIME/タイム』(2011)の感想
無駄がなくテンポが良い
本作品は3つの要素が詰まっている映画なので非常に情報量が多い作品です。
まず1つ目が主題であるお金の価値が時間に成り代わっている要素。
本作の見所であり一番視聴者が考えさせられる、また考えたくなる要素でもあります。
2つ目がアクションの要素。
途中から、時間監視局がウィルたちを追う逃亡の日々始まりアクション要素が増えていきます。
3つ目がサスペンス要素。
スラムゾーンが富豪のゾーンの人たちに人口のコントールをされていてこれは誰かの陰謀ではないかという要素ですね。
普通このくらいの要素を入れてしまうと内容が薄くなってしまい結局なにが言いたいのかわからなくなることがよくある残念なパターンですが。
アンドリュー・ニコル監督は綺麗に視聴者の欲しい要素だけをバランスよく構成してくれています。
アクション要素やサスペンス要素が少ないことで、考察が好きな映画視聴者にとってはとても見応えのある作品に仕上がっているのです。
ややサスペンス要素について明確な答えがなく投げ出された感はありますが、それを踏まえても見事にお金=時間の世界観を作り出しているなと感動しました。
日本語版の吹き替えが残念?
本作品を見る中で少し注意して欲しい点があります。
それはヒロインであるシルヴィアの吹き替えについてです。
シルヴィアは本作の中で半分以上登場し台詞も多くウィルの相棒も務めるので非常に重要な役割をなっているのですが、なぜかキャスティングが篠田麻里子さん。
聞いていただければわかるのですが、違和感だらけで基本的に「声が浮いてしまっている」「棒読み」「感情と声色が合わない」という最悪の状態なのです。
カラオケで素人がアフレコで遊んでいるのかという感覚さえ感じます。
Googleで『TIME/タイム』(2011)をキーワード検索をしても吹き替えのことばかり関連で上がってきて、本作品が非常に良い仕上がりだっただけにそこは非常に残念でした。
『TIME/タイム』(2011)の考察

ウィルとシルヴィアタイトル© 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. IN TIME Motion Picture Copyright2011 Regency
本作品は「もしお金の概念が時間になったら」という設定のSF映画です。
そしてこの特徴をよりリアルにするために、貧民と富豪の描写や世界観が細かく設定されています。
本作品の1番の見所と言っても過言ではないのでその特徴を押さえていきましょう。
時間がお金になった世界設定の整理
『TIME/タイム』(2011)では世界観の設定の把握をしておくとより映画を楽しむことができます。
ここでは本作品の設定を再確認していきましょう。
・時間=お金=命のため時間が0になると即死。
・時間があっても銃などで打たれれば死ぬ。
・病気などの描写はないが富裕層が永遠の命と言っている描写から病気はないと考えられます。
・時間は腕を交差すると分け与えることができる。
・時間は腕を交差することで奪える。
・時間の管理を行う時間監視官という組織が存在する。
・時間監視官は正義を追求する組織ではないので犯罪を取りしまらない。
・すべての25歳なので見た目からその人の本当の実年齢などはわからない。
時間がお金になることで他にも映像として細かな描写の違いなどがあるので、そういった違いを見つけるのもこの映画を楽しむ一つの要素です。
富豪と貧民の細かい描写
この世界では富豪と貧民でゾーンが分かれていて、作中貧民と富豪は時間の余裕の違いからさまざまな特徴が描かれます。
まず、スラムゾーンに住む貧民に関しては時間がありません。
時間がなくならない様に労働をしてお金を稼がないと生きていけないのです。
その貧民達は時間を節約するために、走って過ごすことや睡眠を減らしたり腕の時計をよく見るなどのクセがあります。
逆に富豪は時間があるのでゆっくりと歩き落ち着きがるのが特徴です。
時間を使ってカジノなどの博打をします。
25歳になり自分の時計が動き出した瞬間もウィルとシルヴィアで対比して違いが描かれていました。
貧民のウィルはある日歩いていると時計が動き出し、借金の返済で余命1年が1週間で消えそこからはずっと余命が1日だけの生活を送ります。
一方、富豪のシルヴィアは寝ているときに目が覚め鏡を見たと言いました。
この意味は死ぬことがない彼らはずっとこの姿のまま生きなければいけないからです。
また、一見富豪の方が良さそうに見えるこの世界ですが、ヘンリーの様に富豪=長者には倦怠というデメリットもあるのです。
本作では時間がない人には選択肢がなく、時間がある人に取っては選択の自由があるという構図とそのメリット、デメリットまでうまく表現しています。
【ネタバレあり】『TIME/タイム』(2011)の原作や元ネタとは?

25歳になるシルヴィア © 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. IN TIME Motion Picture Copyright2011 Regency
お金の概念が時間になるというとても斬新なこの設定ですが『TIME/タイム』(2011)は原作や元ネタがなく完全にアンドリュー・ニコル監督のオリジナル作品となっています。
今作品はとても壮大な設定で、ドラマ化やシリーズ化しても良いくらいですがそういった話は出ていないみたいです。
舞台に関しては、遺伝子操作により寿命と外見を止めるような世界ですのでかなり遠い未来を想像できます。
しかし、実際に本作品は空飛ぶ車や最先端の技術がある文明都市があるわけでもなく、車は普通のスポーツカーで世界の外観も普通のロサンゼルのような風景でした。
【ネタバレあり】『TIME/タイム』(2011)のラストシーンと結末を解説

ラストシーン © 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. IN TIME Motion Picture Copyright2011 Regency
そして2人を追い詰めた瞬間に時間切れになって死んでしまうのです。
時間に余裕ができたスラムゾーンの人々は富裕層のゾーンになだれ込んでいき、飽和状態になってしまった世界で時間監視局は取締りをあきらめて解散します。
最後ウィルとシルヴィアの2人は次なる時間を盗みにいくシーンで終了です。
スラムゾーンにいた人がいなくなったことにより労働者がいない世界になってしまいましたが。
たしかにどちらか片方が不幸な世界はいけないかもしれないですが、なにもバランスが取れていない世界は、この後どうなるのだろうと鑑賞者の妄想が膨らむ場面でした。
また最後シルヴィアとウィルの時間が残り1分でなくなりそうなシーンは手に汗に握りました。
前半でウィルのお母さんが全く同じシーンで死んでしまっているという伏線もまたハラハラ感を出させるのに良い対比でした。
なぜ時間がお金になるのか? 『TIME/タイム』(2011)のお金の意味

腕の時計© 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. IN TIME Motion Picture Copyright2011 Regency
本作品はお金の価値が時間になっただけのストーリーですが、作中では色々なテーマが含まれています。
中でも一番重要で感じやすいのは格差社会についてです。
上記の考察にも記しましたが、基本的にスラムゾーンの貧民は時間がないため生きるために働く以外の選択肢がありません。
現実の世界では例えお金がなくなったとしても死ぬことがありませんが、本作の世界で時間がなくなることは死を意味します。
これは貧民の時間がないため選択肢がないというのを極端に表しています。
一方富裕層に関しては時間があるためカジノやゆったりとした生活を過ごし、車も飾ることが当たり前の価値観です。
スラムゾーンでは時間がないためみんな走っていました。
これは皮肉の意味合いをあらわしているのかもしれませんね。
『TIME/タイム』(2011)の評価

ウィルとシルヴィア © 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. IN TIME Motion Picture Copyright2011 Regency
『TIME/タイム』(2011)の興業収入は1.74億円です。
レビューサイトを見ていると、取り扱う主題が面白く考えさせられたというコメントが多くありました。
アクションやサスペンス要素でコメントをしている人は少なかったです。
残念な部分としては、吹き替えが最悪だったという声が圧倒的に多かったですね。
その他は私も感じた点ですが、作中話だけ出てくる
「父親の存在がうまく活かせていない」
「ラストシーンの2人の時間がなくなるシーンですが10億時間手にしてたら自分も少しもらっとけばギリギリになることのないのに」
などつめの甘さを指摘する声もありました。
しかし全体的には時間=お金=命になる本作のテーマに対する前向きな評価が多かったです。
『TIME/タイム』(2011)のまとめ

ウィルとシルヴィア逃走 © 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. IN TIME Motion Picture Copyright2011 Regency
お金=時間=命という強いテーマ性がある『TIME/タイム』(2011)。
アクションやサスペンス要素は少ないですが、その分細かい描写には感動し何度も見たくなります。
映画を見ていろいろ考察したい「もし〜な世界だったら」などを考えてワクワクする人にとっては、非常におすすめできる作品でしょう。
世界観も複雑すぎず単純な要素でまとめられているので、難しいのはあんまり見たくないって方にもわかりやすいストーリーでとても見やすいです。
恋愛の要素もあるのでパートナーと一緒に見るのもいいかもしれないですね。
気になった方は是非ご覧になってみてください。
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