
『幸せのレシピ』(2007)は、完璧主義のフランス料理長ケイトが、人との関わり合いを通して、本当に大切なものに気づいていくヒューマンドラマです。
監督は『一枚のめぐり逢い』(2012)、『シャイン』(1995)など数々名作を残すスコット・ヒックス監督。
主人公ケイトの成長を中心に物語が描かれていますが、彼女が成長するきっかけにもなる、ニックとの恋愛も非常に見所があります。
ドイツ映画のリメイクである本作品は、原作同様に高い評価を得ていますが、なぜこれほどまでに評価されているのでしょう。
本記事では、『幸せのレシピ』(2007)の考察や、原作についてネタバレを交えながら解説していきます。
『幸せのレシピ』(2007)の作品情報とキャスト
作品情報
原題:No Reservations
製作年:2007年
製作国:アメリカ
上映時間:104分
ジャンル:ドラマ、ラブロマンス
監督とキャスト
監督:スコット・ヒックス
代表作:『一枚のめぐり逢い』(2012)『シャイン』(1995)
出演者:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ/吹替:深見梨加(ケイト・アームストロング)
代表作:『マスク・オブ・ゾロ』(1998)『ターミナル』(2004)
出演者:アーロン・エッカート/吹替:津田健次郎(ニック・パーマー)
代表作:『ダークナイト ライジング』(2012)『ハドソン川の奇跡』(2016)
出演者:アビゲイル・ブレスリン/吹替:宇山玲加(ゾーイ)
代表作:『リトル・ミス・サンシャイン』(2006)『ゾンビランド:ダブルタップ』(2019)
『幸せのレシピ』(2007)のあらすじ

ケイトのジャケット© 2006 Warner Bros. All rights reserved.
フランス料理店で料理長をつとめる主人公ケイトは、完璧主義で独善的な性格から常に心に余裕がなく、店のオーナーからカウンセリングを受けさせられている。
そんなある日、ケイトの姉が交通事故に遭う。
その事故により、姉は亡くなってしまったが、その娘であるゾーイは幸運にも生きていた。
姉から「万が一の時はゾーイを頼む」と言われていたケイトは、ゾーイを引き取る。
結婚もしていない独身のケイトは、人付き合いが苦手ながらも、精一杯ゾーイを大切にするが、なかなか思ったようにいかず苦労する。
そんなパンク寸前のケイトだが、姉の事故の療養中に店にスーシェフを名乗る、見知らぬ男ニックが現れる。
料理をしながらオペラを歌うような陽気で、自由な性格はケイトとは真反対。
そんなゾーイとニックに振り回されるケイト日々が始まった。
『幸せのレシピ』(2007)の感想と考察

ソースの食材を当てさせるニック© 2006 Warner Bros. All rights reserved.
『幸せのレシピ』(2007)の感想
まったりした進行が良かった
『幸せのレシピ』(2007)は、良くも悪くも物語の上がり下がりが激しくありません。
内容は、姉が死んでしまってその子供の面倒をみるという、重くなりそうなテーマです。
しかし重たいシーンもなく、悩んでいるシーンはありますが、数回シーンを挟むとその悩みも解消されています。
これが重くて、中身が詰まっている映画だったらきっと気合を入れて、観ないといけないでしょうが、本作品は観ていて全く疲れません。
ラストもハッピーエンドで終わるので、清々しい気持ちで映画を楽しむことができます。
細かい描写をもう少し詰めて欲しかった
映画を観るさいには支障は出ないですが、細かい描写が描かれていない点が、ノイズとなり映画に集中できなかったことがありました。
中でも大きく2つあります。
まずゾーイが母を亡くしご飯を全く食べなくなるシーンです。
料理が上手なケイトが、試行錯誤しながらゾーイが食べそうな料理を作っても全然食べてくれません。
物語としては非常に重要なシーンなのですが、そのまま数日進んでしまいます。
その間ゾーイが食事をしているシーンがないため、「ゾーイはなにを食べているの、餓死しないの」とどうしても気になってしまいました。
2つ目は、なぜニックはケイトに近寄ったのかという描写がなかった点です。
ケイトはニックと一緒に働くために、レストランに働き始めます。
また、ケイトにちょっかいをかけ最後には恋愛に発展しますが、明らかにニックにはケイトへ好意があるのです。
しかし本作品ではニックが、どうしてケイトと働きたいのか、いつケイトに惹かれたのかが描かれていません。
この点が少しニックに対して感情移入がしづらい点でした。
想像力で補えば良いのでしょうが、本作品はカウンセラーをうまく使って上手に細かい感情を解説している映画なので、せっかくならここまで描いて欲しかったです。
『幸せのレシピ』(2007)の考察
『幸せのレシピ』(2007)は、ケイトを軸にしたヒューマンドラマとして描かれていますが、料理や、恋愛、家族愛などさまざまな要素が入っています。
では本作品はどのジャンルとして観ればよいのでしょうか、またなにを伝えたかったのでしょうか。
結論は、ケイト、ニック、ゾーイそれぞれの視点に合わせて観るのが一番楽しみやすいです。
まず始めに『幸せのレシピ』(2007)と料理を題材にした映画のようですが、本作品は料理がテーマの映画ではありません。
料理をメインで見るのは間違いでしょう。
このことを踏まえてそれぞれの視点を解説していきます。
ケイト視点
主人公はケイトなので、本作品では一番見せどころでしょう。
最初トゲトゲして、誰にも心を開かなかったケイトが、周りとの関わりによって徐々に心を開き緊張を解いていくというストーリーを楽しめます。
ケイトの人間的な成長が楽しめるので、これを目当てで観ている人も多いようです。
ニック視点
ニックはケイトに想いを寄せ猛アタックします。
ニックは基本的に陽気で物事深く考えないタイプですが、真っ直ぐ生きているケイトにぶつかって、自分はやはり自分の店を持つべきだと一歩踏み出すことができました。
そんなニック視点では、一人の女性を見守り、振り回し時に助けられる恋愛的要素が楽しめます。
ゾーイ視点
母をなくしたゾーイは、父もいないため知らない場所でケイトと一緒に暮らしますが、ケイトはどこか気を使うばかりで、心を開いてくれません。
そんなゾーイはケイトからよくされるたびに、孤独すら感じていたかもしれないです。
ですが、ニックを通じて次第にケイトも受け入れるようになり、ケイトとニックとの生活が楽しいと感じるようになります。
そんなとき、楽しい生活で母を忘れてしまっていた自分を強く責めるのです。
前に進みたいが、進めないゾーイをケイトとニックによって支えられ、少しずつ進んでいく家族愛がゾーイの視点では楽しめます。
このように本作品はさまざまな要素が混じってますが、一人ひとりに焦点を当てて観ることでスッキリと違った楽しさで観ることができるのです。
【ネタバレあり】『幸せのレシピ』(2007) の元ネタは? オリジナル版との違いはある?

パスタを食べるゾーイ© 2006 Warner Bros. All rights reserved.
『幸せのレシピ』(2007)は『マーサの幸せレシピ』(2001)というドイツ映画のリメイクされたものです。
基本的にストーリーは同じですが、オリジナル版の方がよりゆったりと物語が進んでいます。
また、本作品は非常に明るいタッチで、音楽に合わせそれぞれの登場人物の感情をわかりやすく描いていますが、オリジナル版は表情も無表情が多く、感情が掴みにくいです。
内容的な違いとはリジナル版では
・ゾーイの父が登場する
・ケイトとニックは結婚する
・ゾーイは空腹で倒れる
・ニックの仲直りにソースを持っていかない
などが挙げられます。
本作品もオリジナルもそれぞれの良さがあるので、両方観ることをおすすめします。
『幸せのレシピ』(2007)に登場する料理を紹介!

バジルを切らせるニックとゾーイ© 2006 Warner Bros. All rights reserved.
幸せのレシピは料理がメインの映画ではないものの、主人公がフランス料理の料理長として働いている物語なので、料理が重要な役割をしていました。
ここでは、料理が果たした役割とそれぞれのシーンについて解説します。
『幸せのレシピ』(2007)に登場する料理①:ティラミス
ニックがケイトのためにゾーイと二人で料理をしました。
そのときにニックがケイトのためにと持ってきた料理です。
3人でニックとゾーイが作った料理を、食べた後ゾーイは寝てしまいました。
2人で片付けをして、お互いの話をしていると、ニックが今朝作ったとティラミスを冷蔵庫から取り出しました。
「甘いのは苦手」と断るケイトでしたが、「僕のは特別」というニックに言われティラミスを暖炉で食べます。
「これは好きかも」とニックに言うのでした。
その後クリームが口についていると、ケイトの口元のティラミスを指で拭き、舐めるニックと良い雰囲気になります。
「帰る」と言ったニックは徐々にケイトに顔を近づけ、キスだと思いケイトは目を瞑りますが、ニックはケイトの下にあるジャケットをとりたいだけでした。
初めて、本作品で恋愛の要素が入ってくるドキドキのシーンです。
ニックがケイトをからかってやったのかわからないシーンですが、あのままキスをしたらその日限りで、ケイトはニックのことをあそこまで気にならなかったでしょう。
いままで、どちらかというと強い女性として男気が強かったケイトですが、女の顔になったケイトは非常に色っぽかったです。
『幸せのレシピ』(2007)に登場する料理②:パスタ
パスタはニックが作った料理で、それまでケイトの料理を食べなかったゾーイが初めて口にした料理です。
ある日ゾーイをレストランに連れてきたケイトはスーシェフに「ゾーイがなにを作っても食べてくれない」と嘆きます。
それを聞いていたニックは、ゾーイの元に行って、バジルの仕込みをはじめました。
バジルをちぎり匂いをかいだニックは、ゾーイにも匂いをかがせてバジルをちぎることを手伝わせます。
パスタを作り休憩に入ったニックは、ゾーイの隣に座りパスタにバジルをかけ美味しそうに頬張るのです。
ニックは調理場に戻るフリをしてゾーイにパスタを渡すと、ゾーイはこっそりと一口食べます。
美味しかったのか、パスタを豪快に食べるゾーイに向けて「俺の分も残しといて」と言いました。
ご飯を食べているゾーイをケイトは見つけ、ニックにお礼を言います。
ゾーイがニックを気に入り、ケイトとニックとの距離が少し縮んだ重要なシーンでした。
バレないようにこっそり頬張るゾーイはかわいらしくとても微笑ましいです。
きっとパスタをただニックが横で食べるだけでなく、バジルを一緒にちぎり、自分が料理に関わったというのが、ゾーイの心を動かしたのでしょう。
『幸せのレシピ』(2007)に登場する料理③:パンケーキ
パンケーキはニックがケイトの家に行き、ニックとケイトがキスをした次の日の朝、ニックが作った料理です。
ゾーイに手伝ってもらったケイトは「ゾーイの店が開ける」と言います。
それを聞いたゾーイは「ニックとゾーイの店だよ」それに対してケイトはオレンジを絞ったと、自分が仲間外れにされていることを指摘しました。
そうすると「じゃあニックとケイトとゾーイの店」と訂正します。
その後のラストシーンでは、本当にニックとケイトとゾーイの店ができました。
ラストシーンにつながる重要な伏線です。
ゾーイが楽しそうにしているのが印象的なシーンですが、私的にはパンケーキを食べる前にニックがケイトにキスをしようとして、ゾーイに許可をとるシーンが非常に可愛らしいシーンでした。
ケイトに近づくためにゾーイを利用するのではなく、ニックとゾーイが自然と仲良くなっているのがとても良いですね。
【ネタバレあり】『幸せのレシピ』(2007)の最後は? ラストシーンや結末を解説

客にキレるケイト© 2006 Warner Bros. All rights reserved.
『幸せのレシピ』(2007)のラストシーンについて解説していきます。
ニックと喧嘩してもう家に来ることがないとゾーイに伝えた次の日の朝、ゾーイがいなくなります。
心配して探し回るケイトでしたが、どこにも見つからないのでニックに協力してもらうことにしました。
ニックと探し回っていると、姉のお墓の前で泣いているゾーイを見つけます。
ゾーイは母のことを忘れてしまいそうで怖くなっていたのです。
ゾーイを連れ帰ったケイトでしたが、ニックからサンフランシスコで料理長をつとめることになったと聞きます。
ニックはゾーイに勇気を与えてくれてありがとうと伝え、ケイトは笑顔でその場を去りました。
もやもやしていたケイトは、肉の柔らかさにイチャモンをつけてくる客にキレて仕事をやめます。
カウンセラーに「人生のレシピがほしい、失敗せずにすむわ、答えはわかる、試行錯誤は必要だ」とケイトは言いました。
それに対しカウンセラーは「自分で作ったレシピがベストだよ」と答えます。
なにかに気づいたケイトはニックの元にいき、ニックを引き止めました。
その後、ゾーイとケイトとニックはビストロを開き店は繁盛します。
ラストシーンでケイトが吹っ切れたようにお店をやめて、ニックの元に行ったときは清々しい気持ちになりました。
ケイトは「自分にはこのレストランしかない」といっていましたが、実際ケイトには他の道がいくつもあります。
しかし、追い込まれるように仕事に集中して、毎日緊張が張り詰めていたようでした。
最後ゾーイとケイトとニックの店で楽しそうなケイトが映し出されます。
昼間営業をしているためゾーイもお手伝いができ、ニックもケイトと一緒に働くことができました。
最高のハッピーエンドでしょう。
【レビュー】『幸せのレシピ』(2007)の評価・評判

ケイトと料理を手伝うゾーイ© 2006 Warner Bros. All rights reserved.
『幸せのレシピ』(2007)の興行収入は9260万ドルです。
本作品がどのような評価をされているか、レビューサイトをまとめました。
良い評価
・疲れない映画でよかった
・料理が美味しそう
・一つ一つかわいらしくてキュンとした
悪い評価
・恋愛映画なのかファミリー映画なのか、仕事についてなのか、全てが中途半端に描かれるから、間延びしている
・物語の先が読める普通で王道だった
良い評価としては、ハッピーエンドで尚且つ、嫌な描写があまりなくゆったりとした映画なので、疲れず安心して観られて良いと行った意見が多かったです。
また、料理をメインにしている映画ではないですが、出てくる料理が美味しそうだったと評価している人もいます。
ラブロマンスの要素に対して、キュンとしたという意見や、ニックがかっこいいという意見も多かったです。
悪い評価としては、良い評価に対して平凡でよくあるストーリーだったと、王道すぎるストーリーに対して、物足りなさを感じている人はいました。
全体的には、良い評価ばかりで悪い評価を探すのが大変なくらいでした。
『幸せのレシピ』(2007)のまとめ

ラストシーンのニックとケイト© 2006 Warner Bros. All rights reserved.
『幸せのレシピ』(2007)は一人の女性が成長する物語と、恋愛的要素、家族愛全てが詰まった映画です。
それぞれの登場人物の視点に立って物語を楽しむことで、何度観ても飽きない作品になっています。
恋愛的要素も詰まっているので、パートナーと観ても良いでしょう。
ハッピーエンドで、良くも悪くもストーリーの起伏も少ないので疲れない作品です。
気になった方は、ぜひご覧になってみてください。
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