
『殺人の追憶』(2003)は韓国で実際に起きた連続殺人事件である、華城連続殺人事件をモチーフにした韓国のサスペンス映画です。
監督は『パラサイト 半地下の家族』(2019)で世界的に注目を集めることになるポン・ジュノ監督。
本作が彼の長編2作目となります。
本作は韓国で大ヒットを記録し、大鐘賞(韓国の映画賞)で最優秀作品賞をはじめ、4部門を受賞しました。
ポン・ジュノ監督の初期の傑作である『殺人の追憶』(2003)について、あらすじと感想、作品の魅力をネタバレを交えて紹介していきます!
目次
『殺人の追憶』(2003)の作品情報
作品情報
原題:살인의 추억
公開年:2003年
製作国:韓国
上映時間:130分
ジャンル:サスペンス
監督とキャスト
監督:ポン・ジュノ
代表作:『パラサイト 半地下の家族』(2019)『母なる証明』(2009)
出演者:ソン・ガンホ/吹替: 山路和弘(パク・トゥマン)
代表作:『パラサイト 半地下の家族』(2019)『スノーピアサー』(2013)
出演者:キム・サンギョン/吹替:小山力也(ソ・テユン)
代表作:『死体が消えた夜』(2018)『悪魔は誰だ』(2013)
『殺人の追憶』(2003)のあらすじ

パク・トゥマン刑事:ⓒCJ ENTERTAINMENT AND MERCHANDISING
1986年の韓国、華城市の農村にある用水路で縄で縛られた女性の遺体が発見される。
地元警察であるパク・トゥマン刑事とチョ・ヨング刑事が事件を担当するが、犯人逮捕には至らず、同様の手口で2件目の殺人事件が発生してしまう。
パク刑事は恋人のソリョンからグァンホという男が被害者に付きまとっていた情報を聞き、彼の取り調べを開始。
そんな中、ソウルからソ・テユン刑事がやって来て、捜査に加わるが、パク刑事とはそりが合わなかった。
最重要容疑者であったグァンホには絞殺が無理だということが分かり、彼は釈放。
その後も殺人事件は起こるが、決定的な証拠がなく、捜査は暗礁に乗り上げてしまう。
『殺人の追憶』(2003)の感想と考察

パク刑事とソ刑事:ⓒCJ ENTERTAINMENT AND MERCHANDISING
予想を超えていくストーリー
『殺人の追憶』(2003)は脚本が秀逸のサスペンス映画でした。
予想を超えていくストーリーで、2転、3転とストーリーがスリリングに展開していき、飽きることなく観ることができます。
次々と起こる殺人事件と浮かび上がる容疑者。
調査で判明した殺人事件のとある共通点を頼りに真犯人逮捕かと思いきや、実は犯人ではなかった。
引きつけて離す、そしてまた引きつける、その匙加減が素晴らしく、緩急のつけ方が絶妙。
「一体どうなるんだ?真犯人は捕まるのか?」と気になってしまい、ずっと見続けてしまうというわけです。
また、サスペンスというどこか重苦しさの漂う作品の中にもユーモアを取り入れており、息抜きさせてくれる点も良かったです。
特におもしろかったのは、
・NIKEのコピー版がnice
・パク刑事が占いで捜査をしているくせに、ソ刑事に「科学捜査をしろ」と悪態をつく
以上の2点。
アカデミー賞で話題になった『パラサイト 半地下の家族』(2019)の脚本も素晴らしかったですが、約20年前の本作からすでに脚本はうまかったのだと感じました。
本作では予想もつかないストーリーを楽しんでください。
対照的な刑事コンビが活躍
『殺人の追憶』(2003)ではパク・トゥマン刑事とソ・テユン刑事の2人が主要キャラとなって事件を追っていくのですが、この2人はとにかくそりが合わない。
そんな2人の軽妙なやりとりが本作の魅力にもなっていきます。
パク刑事は言葉も悪く、暴れん坊で力ずくで自白させようとする肉体派。
逆にソ刑事は冷静沈着、頭を使って証拠をかき集める頭脳派。
だいたいパク刑事が暴走してソ刑事が冷静に彼を止めるという感じになっていきます。
刑事が出るドラマや映画にはバディがつきものですが、このコンビもクセが強いキャラになっているので、注目してみてください!
【ネタバレあり】『殺人の追憶』(2003)の原作や元ネタとは?

捜査する刑事:ⓒCJ ENTERTAINMENT AND MERCHANDISING
原作・元ネタは華城(ファソン)連続殺人事件
『殺人の追憶』(2003)の元ネタとなっているのは、1986年~1991年にかけて韓国の華城で起きた連続強姦殺人事件である華城(ファソン)連続殺人事件です。
この事件では10代~70代までの女性10名が亡くなりました。
本事件に動員された警官は200万人、約2万1000人を取り調べ、また約2万人分の指紋を検査。
この規模からして、事件が韓国内でも大きかったことが分かります。
韓国史上最悪とされる連続殺人事件で、長らく未解決でしたが、事件発生から約30年が経った2019年に犯人が特定されます。
韓国警察は最新の犯罪科学技術を使い、被害者の遺物からDNAの採取に成功。
別の強姦事件で終身刑に服しているイ・チョンジェという56歳の男のDNAと一致したため、容疑者に特定しました。
なお、イ受刑者は華城(ファソン)連続殺人事件の関与を否定しており、事件も時効が成立しているため、彼を起訴することはできないと言います。
一体なぜ?『殺人の追憶』(2003)の疑問や意味を解説

パク刑事とソ刑事:ⓒCJ ENTERTAINMENT AND MERCHANDISING
『殺人の追憶』(2003)のタイトルの意味を解説
『殺人の追憶』(2003)のタイトルにはどのような意味があるのでしょうか。
まず「追憶」という意味ですが、
[名](スル)過ぎ去ったことに思いをはせること。過去をしのぶこと。追想。「追憶にふける」「少年時代を追憶する」
と、あります。
『殺人の追憶』とは『昔の殺人に思いをはせる』という意味になります。
つまり、それはどういう意味なのか。
タイトルには2つの意味があるように思います。
まず一つ目は「事件を風化させないように」という思い。
当時は未解決事件だったため、真犯人が逮捕されていません。
本作が公開されたのは事件から約10年後です。
亡くなってしまった被害者のためにも、この事件を思い返して風化させないで欲しい、という意味が込められているのではないでしょうか。
2つ目はラストに集約された意味。
ラストでは真犯人が昔の殺人を思い返して、事件現場に戻ってきたことが分かります。
だから『殺人の追憶』。
事件は終わっていない、犯人はまだ生きている、という意味を伝えたかったのかもしれません。
『殺人の追憶』(2003)の犯行動機を解説
なぜ犯人は連続強姦殺人事件という異常とも言える犯行に及んだのでしょうか。
犯行動機については映画の中で語られていません。
特定の人物だけを狙った犯行ではないため、怨恨の可能性も低い。
共通している点は女性だけを狙っている点です。
性犯罪の動機は性欲よりも支配欲のほうが強いと言います。
これは推測するしかありませんが、犯人は女性を強姦して殺すことで異常な支配欲を満たしていたのではないでしょうか。
ただ、犯行自体がかなり異常なので一般理論では犯行理由を解明できないかと思います。
犯人が膣内に桃や文房具を入れていたのはなぜか?
事件の中で犯人は、膣内に桃の切れ端や文房具を入れていました。
犯人は膣内に異物を入れ、性的興奮や支配欲を満たしていた可能性があります。
また、女性をモノ扱いして遊んでいたか、女性に対する強い恨みから人間ではなく、モノとして扱ってやろうとしていたのではないでしょうか。
別の視点で桃の花言葉から推測してみましょう。
桃の花には「チャーミング」「あなたに夢中」「気立ての良さ」「天下無敵」という花言葉があります。
全ての遺体の膣内に桃が入っているわけではなかったので、犯人は特別気に入った被害者に「あなたに夢中」という意味で桃の切れ端を入れていたのかもしれません。
実際の華城(ファソン)連続殺人事件では、被害者の傘で陰部を何度も刺されていたという事件も発生していました。
いずれにしろ、犯人が異常な性癖の持ち主であったことは間違いないでしょう。
『殺人の追憶』(2003)の犯人はどんな顔をしていた?
犯人については逮捕されていないため顔は分かりません。
映画の中で犯人について分かっているのは、手が柔らかいということだけ。
真犯人らしき人物は映るのですが、顔を見ることはできませんでした。
【ネタバレあり】『殺人の追憶』(2003)の最後は? ラストシーンや結末を解説

パク刑事:ⓒCJ ENTERTAINMENT AND MERCHANDISING
『殺人の追憶』(2003)の最後・ラストシーン
事件から約20年が過ぎ、警察を辞めてセールスマンになっていたパク刑事は、ある日、仕事の途中で事件現場の用水路に立ち寄ります。
パク刑事はそこで出会った少女に、「前に自分がここでしたことを思い出して久しぶりに来てみた」という男に会ったことを話します。
「どんな顔だった?」とパク刑事が問うと、少女は「普通の顔」と答えるというラスト。
この2人のやりとりで犯人がまだ生きているということが分かります。
少女のセリフ「普通の顔」には、一見、普通の人のようでも犯罪者になる可能性もあるし、異常なものを隠しているのかもしれない、というメッセージが込められているのではないでしょうか。
パク刑事が見つめる最後の表情は「犯人はお前か?」と画面越しに訴えているかのようでした。
『殺人の追憶』(2003)の真犯人はだれなのか?
真犯人とされていたヒョンギュでしたが、DNA鑑定の結果、犯人ではないことが証明されます。
結果、犯人を逮捕することは出来ず、未解決事件に。
真犯人が誰なのかは分からないままでした。
【レビュー】『殺人の追憶』(2003)の評価・評判

ソ刑事:ⓒCJ ENTERTAINMENT AND MERCHANDISING
つまらない? 低評価のレビュー
『殺人の追憶』(2003)にはどのような低評価があるのでしょうか。
低評価のレビューを見てみると、
・凌辱シーンや暴力シーンや下ネタがどうにもだめ
・結局だれ犯人よ?ってなっちゃった
・凶悪犯には捕まってほしいし、警察には捕まえてほしい
という低評価レビューがありました。
暴力シーンが嫌いな人や、真犯人が誰なのかはっきりした結末を好む人は、低評価をつける傾向にあるようです。
確かに警察が拷問をするシーンは多いので、気分が悪くなる人もいるかもしれません。
面白い? 高評価のレビュー
『殺人の追憶』(2003)にはどのような高評価があるのでしょうか。
高評価のレビューを見てみると、
・構成力に舌を巻いた
・ポン・ジュノ監督の練りこまれた脚本と見事な演出
・カメラワークのオーソドックスさと安心感。ストーリーテリングの巧みさ、旨さ。
という高評価がありました。
やはりポン・ジュノ監督の脚本(構成力)は評価が高いです。
また、役者の演技力を評価するレビューも多く見られました。
レビューの通り、ポン・ジュノ監督のストーリー構成は巧みで最後まで惹きつけられる作品でした。
本作は1980年代を舞台にしているため、リアルな時代背景にするためにも拷問(暴力シーン)を映す必要があったのでしょう。
また、本作は未解決事件を題材にしているため、犯人が分からないままにしておくのは、道理だと思います。
犯人不明だからこそ、「普通の顔」というラストシーンがとても意味あるシーンになっているのではないでしょうか。
日本のレビューサイトの点数が5点満点中3.8という高評価には納得です。
『殺人の追憶』(2003)のまとめ

事件のあった村:ⓒCJ ENTERTAINMENT AND MERCHANDISING
巧みなストーリーテリングで魅了した『殺人の追憶』(2003)。
重くなりがちなサスペンスの中にもユーモアがある点についても良かったです。
『パラサイト 半地下の家族』(2019)でポン・ジュノ監督を知ったという方も多いと思うので、ぜひ本作も観てください!
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