
『ゴッドファーザー』(1972)は、アカデミー賞9部門を受賞し、3冠にも輝いた名作アメリカ映画。
監督は『地獄の黙示録』(1979)で作品賞を含む8部門を受賞した名匠フランシス・フォード・コッポラ。
のちに2作の続編が作られるほどの人気作となり、現在でも世界中に多くのファンが存在するマフィア映画の傑作です。
アメリカ作家・マリオ・プーゾによる同名犯罪小説を映画化した本作は、見事、第30回ゴールデングローブ賞でドラマ部門の作品賞、主演男優賞を含めた5部門を受賞。
また、第45回アカデミー賞では作品賞、主演男優賞、脚色賞を受賞しました。
全米公開後は爆発的なヒットとなり、世界で約2億4500万ドルの興収を記録。
評論家が選ぶ映画ベストテンや名作映画ベスト100でも、常に上位を獲得するほど絶大な人気を誇る一作です。
現在でも愛される不朽の名作『ゴッドファーザー』(1972)について、感想と考察、評価を交えて紹介していきます。
目次
『ゴッドファーザー』(1972)の作品情報とキャスト
作品情報
原題:The Godfather
製作年:1972年
製作国:アメリカ
上映時間:175分
ジャンル:クライム、ギャング・マフィア
監督とキャスト
監督:フランシス・フォード・コッポラ
代表作:『地獄の黙示録』(1979)『ランブルフィッシュ』(1983)
出演者:マーロン・ブランド
代表作:『欲望という名の電車』(1951)『地獄の黙示録』(1979)
出演者:アル・パチーノ
代表作:『狼たちの午後』(1975)『アイリッシュマン』(2019)
出演者:ジェームズ・カーン
代表作:『愛と哀しみのボレロ』(1981)『ミザリー』(1990)
出演者:ジョン・カザール
代表作:『狼たちの午後』(1975)『 ディア・ハンター』(1978)
出演者:ダイアン・キートン
代表作:『アニー・ホール』(1977)『恋とニュースのつくり方』(2010)
出演者:ロバート・デュヴァル
代表作:『アラバマ物語』(1962)『地獄の黙示録』(1979)
『ゴッドファーザー』(1972)のあらすじ

ゴッドファーザーことヴィトー・コルレオーネ© 1972 Paramount Pictures
第二次世界大戦後のニューヨーク。
その一角には、イタリア系マフィアグループであるコルレオーネ・ファミリーが大豪邸を構えていた。
義理深く、引き受けた依頼は確実に遂行することから、裏社会でゴッドファーザーとも呼ばれている一家の長・ドン・コルレオーネ(ヴィトー・コルレオーネ)。
一方、4人の子供たちの末っ子・マイケルは、大学の卒業後、軍隊に入ることで裏社会から離れようとしていた。
しかし、状況は一変。
同じく、ニューヨークを牛耳っている五大グループの一つ・タッタリア・ファミリーとの抗争が激化したことで、マイケルも血で血を洗う男たちの戦いに巻き込まれていくことになり……。
『ゴッドファーザー』(1972)の感想と考察

パーティーでのマイケルとケイ© 1972 Paramount Pictures
味わい深く淡々と描かれるストーリーテリング
多くの登場人物、そして淡々と進んでいく物語。
その特徴から好き嫌いが大きく分かれる本作ですが、味わい深いストーリーテリングは観れば観るほどクセになるため、奥が深い一作と言えるでしょう。
なによりも、絶対悪と認識されがちな「マフィア」という存在を斬新な視点で切り取ったのが本作の見どころ。
もともと、裏社会に踏み込もうとしていなかった青年・マイケルを物語の中心に捉えることで、多くの観客は自然と彼の立場で物語を追っていくことになります。
少しずつ、彼がボスへと昇り詰める様子を目撃する私たちにとって、悪だと考えていた「マフィア」の存在は全く異なるものになっているはず。
家族という存在に縛られていく主人公の悲劇と待ち受ける壮絶なラストには、誰もが共感せざるを得ない確かな説得力がありました。
裏社会に生きる男たちの意外な素顔
また、本作は裏社会に生きる男たちの意外な素顔が印象的な一作でもあります。
有名な本作のテーマソング『ゴッドファーザー 愛のテーマ』(原題:Love Theme from The Godfather)のタイトルからも分かる通り、本作のテーマは愛。
愛するもののために残酷な抗争へと足を踏み入れていく男たちの姿は美しくも哀しくもあります。
とりわけ、そんな本作で印象的なのはドン・コルレオーネとその孫・アントニーが戯れる後半の1シーンと言えるでしょう。
裏社会のボスとして厳格なイメージの強かった彼が、おじいちゃんとして優しい表情を見せるその場面では、一人の人間としての懐の深さを思い知らされました。
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『ゴッドファーザー』(1972)の原作は?
本作の原作となったのは、映画版の脚本も手掛けた小説家・マリオ・プーゾによる同名小説。
上下巻を合わせ、800ページ以上にも及ぶ膨大な原作を映画版ではわずか3時間弱の上映時間に収めているため、劇中ではサブキャラクター達のサイドストーリーは割愛。
また、ドン・コルレオーネの死の描き方や、ラストシーンのマイケルに対する恋人・ケイの描写などにも若干の違いがあるそうです。
ちなみに本編でカットされたサイドストーリーに関しては、実際に撮影は行われていたそう。
この本編未公開シーンを追加し、続編と合わせたTV用再編集版『ゴッドファーザー テレビ完全版』(旧題:『ゴッドファーザー・サガ』)なるものも存在しているそうです。
『ゴッドファーザー』(1972)に実在のモデルはいる?
本作の登場人物には、それぞれ実在のモデルがいるとのこと。
それぞれの詳細について、以下にまとめてみました。
(これらのモデルには諸説があります。あらかじめご了承ください。)
実在のモデル①:ドン・コルレオーネ……ヴィト・ジェノヴェーゼ
本作の顔としても有名になったドン・コルレオーネのモデルは、実在のマフィア・ヴィト・ジェノヴェーゼ。
イタリアの犯罪組織「コーサ・ノストラ」のボスだったという彼はイタリアのナポリに生まれ、幼少期に渡米。
長年、組織のナンバー2として仕えた後、ボスになったものの、1959年に麻薬取引の罪で収監。
その10年後、がんによる心臓発作によって死亡したのだとか。
権力を握ることに執着していたという彼は、晩年も獄中から一家を支配していたそうです。
実在のモデル②:マイケル・コルレオーネ……ジョゼフ・ボナンノ
劇中でアル・パチーノの名演が印象的だったマイケルのモデルは、ジョゼフ・ボナンノと言われています。
1905年、シチリア島に生まれた彼は、約30年に渡り、ニューヨークで一大勢力を誇ったボナンノ・ファミリーのボスとして活躍。
1969年に息子ビルと失踪した彼ですが、1983年には自叙伝である『Man of Honor』を発表。
その内容から、過去の罪を問われ、14か月の禁固処分となったそうですが、その後の2002年には心筋梗塞のため、この世を去ったそうです。
実在のモデル③:モー・グリーン……ベンジャミン・シーゲル
モー・グリーンのモデルとなったのは、劇中同様、顔面を狙撃され、絶命したというベンジャミン・シーゲル。
賭博がはびこる街・ラスベガスの成立に関わったという彼は、映画スターのように美しいルックスを持ち、女性好きで社交的な性格だったと言われています。
実在のモデル④:ジャック・ウォルツ……ハリー・コーン
劇中でハリウッドの大物プロデューサーとして登場したジャック・ウォルツのモデルは、コロンビア映画の社長でもあったプロデューサー・ハリー・コーン。
乱暴な性格から、『キング・コング』(1933)をもじり、「キング・コーン」と称されていた彼ですが、兄であるジャックと共にコロムビア映画の成功に貢献した一面もあるそうです。
実在のモデル⑤:ジョニー・フォンテーン……フランク・シナトラ
人気歌手として登場したジョニー・フォンテーンのモデルは、有名俳優・フランク・シナトラと言われています。
劇中で描かれていたエピソードは、彼が『地上より永遠に』(1953)という作品で脇役に抜擢されるまでに起こった有名な逸話を基にしているのだとか。
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腰掛けるマイケル© 1972 Paramount
妻・アポロニアとの幸せな新婚生活を奪われ、数少ない一家の生き残りとなったマイケルは、ファミリーのボスとして正式に就任することが決まります。
妹コニーの息子の洗礼式へと出向いた彼は、彼女の後継人である代父(ゴッドファーザー)として式に立ち会うことになりますが、その裏では大きな陰謀が渦巻いていました。
それは彼らを取り巻くニューヨーク五大グループの粛清。
信頼を置く部下たちにグループのボスたちの殺害を命じたマイケルは、洗礼式に参加する傍ら、見事、ニューヨークの裏社会を牛耳るボスへとのし上がります。
事件以後、その残忍な手口から、周囲の女性たちから非難にさらされるマイケル。
特に夫であるカルロを殺されたコニーの怒りと悲しみは計り知れないものでした。
新たな妻であるケイにも粛清について問い詰められるマイケルですが、彼女に対しては行為を否定。
夫の回答に安堵の表情を浮かべたケイでしたが、彼が手下たちから忠誠を誓われている姿を目撃し、言葉の信憑性にわずかな疑念を抱いたところで物語は幕を閉じます。
『ゴッドファーザー』(1972)の疑問点の解釈
アポロニアに対する愛は真実だったのか?
この疑問に関しては、かなり意見が分かれるかもしれません。
膨大な原作を端折った作品の特性上、彼のアポロニアに対する愛情が何とも希薄に感じてしまう本作。
しかし、彼女の死がマイケルという人間を大きく変えてしまったことを踏まえれば、彼女への愛は確かなものだったと言えるのではないでしょうか。
少しずつ、悪の道へと染まっていくマイケル。
しかし、ラストの決断は「彼女の死」があってのもの。
愛するものを失い、深い傷を負った彼だからこそ、同じことを繰り返さぬように残酷な選択を下さざるを得なかった。
筆者は衝撃のクライマックスをそのように解釈しました。
妻・ケイとの関係性はどうなる?
本作のラストでは妻・ケイがマイケルに若干の疑念を抱くところで物語が終了しましたが、この後の二人に起きた関係性の変化は続編で描かれることになります。
本作の数年後を描いた『ゴッドファーザー PART II』(1974)では二人の周囲を取り囲む環境はかなり変化しており、その間で「ある危機」が訪れることになります。
果たして、彼らがどうなってしまうのか。
それは是非、ご自身の目で確かめてほしいですが、続けて観るとより深みが増す一作だということは、お先にお伝えしておきます。
『ゴッドファーザー』(1972)の評価を解説

暗躍するヴィトー・コルレオーネ© 1972 Paramount
【つまらない?】低評価のレビュー
様々な感想共有サービスでの意見を覗いてみた結果、本作の批判には以下のようなものがありました。
「とても渋い、、顔と名前が一致した時には既に映画が2/3終わっていた。私にはまだ早かったみたい。」
「登場人物が多く、初見では覚えるのに一苦労。細かい説明も抜きで行間を読み取れとばかりにポンポン進んでいくので理解もそこそこに観るしかなかった。」
1.0/5.0 Yahoo映画
「長い、それでいて進行は遅い。登場人物の顔と名前はほぼ一致しないままだったし、ラストも意味不明、珍しく退屈な映画でした。」
これらの内容をまとめると、登場人物の多さ・本編の尺の長さ・奥深い物語の3点が作品の低評価を代表する部分だと考えられるのかもしれません。
【面白い?】高評価のレビュー
一方、本作を絶賛する意見には、このようなものがあるようです。
4.4/5.0 Filmarks
「映画史に残る不朽の名作!やっと見ました。暴力描写ばかりかと思ってたのですが、濃厚なヒューマンストーリーもあり、とても見やすかったです。マフィアの裏も垣間見て、3時間が濃かった!渋い映画だな〜」
5.0/5.0 映画.com
「文句なしの名作 長さを感じず集中して観れます」
5.0/5.0 Yahoo映画
「何回見ても、引き込まれる。ほんとに、何回も何回も。世界中にこんな人間はいったいどれ程いるのか・・・。」
これらの意見と否定的な意見を比べると、1つ目に登場人物を好きになれるか、2つ目に物語を理解して入り込むことが出来るかという2点の受け取り方で評価が大きく変わっているようです。
『ゴッドファーザー』(1972)のまとめ

新郎となったマイケル© 2011 Silver Screen Collection
淡々としたストーリー、数多くの登場人物などによって、初見では理解が追いつかない部分も多いであろう本作。
それゆえ、かなり苦手意識を感じる人も多いかもしれませんが、是非、一度ならず、何度も見返してほしい一作です。
年を取り、経験を深めることで全く異なる見え方へと変わっていく作品の奥深さ。
本作が現代でも名作として愛され続ける所以は、そんな部分にあるのかもしれません。
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