『フォードvsフェラーリ』(2019)は実話を元に、ル・マン24時間レースに挑む、アメリカとイタリアの2大自動車会社の攻防を描いたアメリカ合衆国のドラマ映画です。
主演のクリスチャン・ベールとマット・デイモンの演技力は、本国アメリカの批評家達からも高く評価されました。
日本公開時にはポスターに「実話」の文字が大々的に印字され、その感動的なストーリーと映画的な展開も話題になっています。
興行的に苦戦することの多いモータースポーツ映画ですが、そういった枠組みの中で何故これ程までに高い評価を得られたのでしょう。
その理由と魅力について、作品紹介やネタバレありの考察を交えて書いていきます。
目次
『フォードvsフェラーリ』(2019)の作品情報とキャスト
作品情報
原題:Ford v. Ferrari
製作年:2019年
製作国:アメリカ合衆国
上映時間:153分
ジャンル:ドラマ
監督とキャスト
監督:ジェームズ・マンゴールド
代表作:『LOGAN/ローガン』(2017)『ニューヨークの恋人』(2001)
出演者:クリスチャン・ベール/吹替:日本語吹替なし(ケン・マイルズ)
代表作:『ダークナイト』(2008)『バイス』(2018)
出演者:マット・デイモン/吹替:日本語吹替なし(キャロル・シェルビー)
代表作:『ジェイソン・ボーン』(2016)『オデッセイ』(2015)
出演者:カトリーナ・バルフ/吹替:日本語吹替なし(モリー・マイルズ)
代表作:『グランド・イリュージョン』(2013)『大脱出』(2013)
『フォードvsフェラーリ』(2019)のあらすじ
1963年、2世を社長に迎えたアメリカの大手自動車メーカー・フォードは、今後、大きな消費者層となるベービーブーマー層に訴えかけるため社のブランドイメージ一新のために画策していた。
そこで出された案が、イタリアの大手にしてル・マン4連覇を成し遂げたフェラーリの買収だった。
さっそく買収に向け動くフォードだったが、交渉の場でフェラーリ創業者の機嫌を損ね交渉は決裂、フォードに対し「先代の七光」と罵倒するフェラーリを負かすべく巨額の資金を投じ、レースチームを結成させることになる。
レース経験の乏しいフォードが白羽の矢を立てたのは、1959年に開催されたル・マン24時間レースで優勝経験をもつ、凄腕レーシングドライバーのキャロル・シェルビー。
しがない自動車整備工場を運営しつつも卓越したドライビングテクニックをもつケン・マイルズであった。
しかし、打倒フェラーリを掲げるフォード内部にはル・マン出場に消極的な派閥も存在しており、さまざまな思惑が混在しながら物語は動き出す。
フォードvsフェラーリ、戦いの火蓋が切って落とされた。
【ネタバレあり】『フォードvsフェラーリ』(2019)の感想と考察

キャロル・シェルビーとケン・マイルズ:©Twentieth Century Fox Film Corporation
個人的感想として、筆者自身そこまで車やモータースポーツなどについて詳しいわけではないのですが、そういった知識がなくとも十分に楽しめる作品だったというのが率直な感想です。
とくに本作などは、ル・マンに挑む男たちのレーシングカー開発の場面があったり、専門用語が飛び交ったりする。
それを100%理解できなくとも、企業の策略や登場人物たちの人間模様などが色濃く描かれているので、ドラマ映画として楽しむことができました。
友情、夫婦愛、家族愛、妻と夫、息子と父親、仕事、夢......。
さまざまなテーマを内包しており非常にドラマチックな物語に仕上がっています。
【ネタバレあり】『フォードvsフェラーリ』(2019)のラスト・結末を解説

レースに臨むケン・マイルズ:©Twentieth Century Fox Film Corporation
ここから先の記述には作品の結末に触れるネタバレが含まれます。未鑑賞の方はご注意ください。
映画の終盤。
ル・マン24時間レースも佳境を迎え、数々のレーサーが退場していく中、フォード社製ル・マン用に開発された専用マシン「GT40」に搭乗するケン・マイルズは、フェラーリレーサーとの息を呑む迫力のレースを繰り広げ、ついに1位を独走。
レースも最終局面を迎えた頃、マシンのメンテナンスのためにピットインしたマイルズに対し、フォード陣営から耳を疑うような命令が下ります。
それは「他のフォード社レーサーたちと並走した状態でゴールイン」というパフォーマンスをしろという指示であり、レースに命をかけるマイルズにすればプライドをズタズタに引き裂かれるようなものでした。
複雑な想いを抱えたまま最終ラップに繰り出すマイルズでしたが、ゴール直前、風を感じながらスピードのみが支配する世界で次第に速度を落とし、他の2台のレーサーたちと並走してゴールすることを決めます。
しかしゴール後、トロフィーはマイルズよりも後からゴールしたブルース・マクラーレンという選手に手渡されることに。
これはスタート時に後方からスタートした方が有利というルールが適応された結果であり、フォード穏健派の策略だったのです。
半ばフォードにいいように利用された形となってしまった2人は、今度こそレースで完全優勝しようと誓い合いその場を後に。
その後、2人とレースチームはレーシングカーや運転技術に日々磨きをかけていましたが、マイルズはテスト走行中に不慮の事故に遭い妻子が見守る前で帰らぬ人となってしまいます。
半年後、マイルズの死を受け入れることができないまま、生気を失ったシェルビーは自身の自動車ディーラーでの仕事をしつつ虚ろな日々を過ごしていました。
そんなある日のこと、彼はマイルズの息子ピーターと偶然の再会を果たします。
父亡き後も懸命に生きる妻と子の姿を見た彼は、自身の次なる目標のため生きていくことを決意するのでした。
頑固だった自分を曲げてまでレースに挑み、家族を養うためレースの世界に生きることを決めたマイルズ。
そんな彼の良き友人、良きパートナーとして支えてきたシェルビー。
2人の前に立ちはだかる企業という名の怪物。
この三つ巴の関係を軸に、男たちの成長を描いたのが本作『フォードvsフェラーリ』であると考えています。
『フォードvsフェラーリ』(2019)は実話? 元ネタを解説

ケン・マイルズ:©Twentieth Century Fox Film Corporation
本作は、配給的にも「実話」であることを大きく挙げての公開となり、多くのモーターレースファンや映画ファンを囲い込むことに成功しています。
車好きでなくとも、一度は耳にしたことのある社名がタイトルを飾っていることも相まって、人々の関心を惹くことにも一役買いました。
本作の元ネタになった人物と、実際に開催されたル・マン24時間レース。
映画の主要人物であるキャロル・シェルビーやケン・マイルズ、ヘンリー・フォード2世にエンツォ・フェラーリなど、登場する人物はすべて実名であり、実際に存在する(していた)人たちです。
劇中で描かれるレースの模様も、史実を忠実に再現されたものになっています。
ただ、劇中で描かれたレースはフォードが初の優勝を飾った1966年のレース模様。
実際には1964年と1965年にもフォードはル・マンに挑んでおり、どちらも完走するに至らなかったのです。
また、映画と事実の違いは他にも。
劇中、レース自体にはさほど関心がなく、結果にこだわるドライな印象を持たせるヘンリー・フォードに対し、24時間のレースを余すことなく鑑賞し続けた熱いエンツォ・フェラーリの姿が対象的に描かれています。
ですが実際には、フェラーリはレース会場には出席すらしていなかったとのこと。
その理由は、諸説ありますが、毎年多くのフェラーリレーサーが事故により死亡していたからというのが有力な説。
「事実は小説よりも奇なり」という言葉がありますが、残念ながら本作には当てはまらなかったようです。
『フォードvsフェラーリ』(2019)の評価は?

ケン・マイルズとキャロル・シェルビー:©Twentieth Century Fox Film Corporation
Yahoo!映画やFilmarksなどのサイトでも、おおむね高評価が多く、海外の批評家も高い評価をくだしている傾向にあり世界的にヒットしています。
ここでは国内外の主要な映画評価サイトでの点数や興行収入などについてまとめました。
※評価や金額などの記述はすべて2020年1月現在のものです。
Yahoo!映画 4.3/5
Filmarks 4.1/5
映画.com 4.1/5
IMDb 8.2/10
Rotten Tomatoes 92%/100%
上記の通りほとんどのサイトで満点に近いスコアを叩き出しており、本作が長きに渡って語り継がれるだろう予感すら感じさせます。
気になる興行収入はというと、製作費$97,600,000(約100億円)に対し、全世界で$206,992,402(約230億円)もの収益。
委員会方式の製作スタイルを採らないハリウッドの仕組みから考えると、単純計算で倍以上の回収なので成功と言えるでしょう。
『フォードvsフェラーリ』(2019)のまとめ

ケン・マイルズとピーター・マイルズ:©Twentieth Century Fox Film Corporation
さて、ここまで映画のあらすじやネタバレを含んだ結末についても触れてきました。
実話を元に描かれる「企業vs企業」「男vs男」「人間vs機械」といった、さまざまなテーマを2時間半に収めきった本作。
上述した通り、車やモータースポーツなどの知識や興味が浅い人でも十分に楽しめることはもちろん、熱い男たちのドラマや圧巻のレースシーン、家族愛や友情など多角的な観方を楽しめる作品です。
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