
『チョコレートドーナツ』(2012)はゲイのカップルが育児放棄されたダウン症の少年を引き取り、育てようとしていくヒューマンドラマの映画です。
同性愛者という偏見にあいながらも、ダウン症の少年マルコを愛する姿には心が揺さぶられます。
同性愛、知的障害、育児放棄という社会派の面もありながら、愛や絆といった人間の内面もしっかりと描きました。
切ない思いが押し寄せるドラマ『チョコレートドーナツ』(2012)について、感想と考察をネタバレを交えて紹介していきます!
【『チョコレートドーナツ』(2012)の評価】
項目 | 評価 | 点数 |
知名度 | ★★★★☆ | 70点 |
配役/キャスト | ★★★★☆ | 75点 |
ストーリー | ★★★★☆ | 85点 |
物語の抑揚 | ★★★★☆ | 80点 |
ドラマ性 | ★★★★★ | 90点 |
切なさ | ★★★★★ | 90点 |
目次
- 1 『チョコレートドーナツ』(2012)の作品情報
- 2 『チョコレートドーナツ』(2012)の概要
- 3 『チョコレートドーナツ』(2012)の感想
- 4 【なぜ?】『チョコレートドーナツ』(2012)の疑問や見どころを解説
- 5 『チョコレートドーナツ』(2012)の伏線はあった?
- 6 『チョコレートドーナツ』(2012)の原題・タイトルの意味とは?
- 7 『チョコレートドーナツ』(2012)の原作や元ネタとは? 映画版との比較
- 8 『チョコレートドーナツ』(2012)の最後は? ラストシーンや結末を解説
- 9 【レビュー】『チョコレートドーナツ』(2012)の評価・評判
- 10 『チョコレートドーナツ』(2012)の総合評価:ビターエンドな傑作ドラマ
『チョコレートドーナツ』(2012)の作品情報
製作年 | 2012年 |
原題 | Any Day Now |
製作国 | アメリカ |
上映時間 | 97分 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | トラヴィス・ファイン |
脚本 | トラヴィス・ファイン/ジョージ・アーサー・ブルーム |
主要キャスト | アラン・カミング(ルディ・ドナテロ)/ 日本語吹替:内田夕夜
ギャレット・ディラハント(ポール・フラガー)/ 日本語吹替:てらそままさき アイザック・レイヴァ(マルコ・ディレオン)/ 日本語吹替:佐藤優吏 ジェイミー・アン・オールマン(マリアンナ・ディレオン)/日本語吹替:山賀晴代 |
『チョコレートドーナツ』(2012)の概要

ルディ・ドナテロ:ⓒMusic Box Films
ゲイバーで女装し、パフォーマーとして働きながら生活していたルディ・ドナテロ。
ある日、ルディが働くゲイバーに検事局の男性ポールが客として来て、2人は恋に落ちる。
そんな中、ルディは同じアパートに住むダウン症の少年マルコに出会うが、彼の母親は薬物所持のため逮捕されてしまった。
その事実を知ったルディはポールを説得し、マルコを引き取ることを提案する。
ポールの協力により、合法的にマルコを引き取ることができたルディとポールは、3人で幸せに暮らすことになったが……。
『チョコレートドーナツ』(2012)の感想

ルディとポール:ⓒMusic Box Films
同性愛の偏見を描く
『チョコレートドーナツ』(2012)はルディとポールの2人のゲイカップルがダウン症児のマルコを育てていく物語です。
今でこそ同性愛に対する理解は広まってきたように感じますが、本作の舞台設定は1970年代。
当時は同性愛に対して差別と偏見が強く根付いていたそうです。
ルディとポールも差別と偏見の逆風にあうのですが、それでもマルコを我が子のように愛する姿には胸を打たれました。
しかし、世間の目は厳しくルディとポールはマルコと離れ離れに。
もどかしい気持ちでいっぱいになります。
どうしてそんな差別と偏見をしてしまうのか。
セクシャルマイノリティに限らず、差別と偏見のない世界が来て欲しいと本作を観て強く思いました。
そのためには、多様性を認め、人間の本質を見る必要があるのではないでしょうか。
本作を観て差別と偏見について考えるきっかけになって欲しいと思います。
とにかく切ない
『チョコレートドーナツ』(2012)は決して明るい話ではありません。
全体的に切ない思いが押し寄せる話になっています。
ここではネタバレはしませんが、ラストも切ない……。
もし、裁判所が少しでも理解していれば、ルディとポールに偏見がなければ……。
ルディの歌声が切なく響くのが印象に残りました。
泣かす演技をさせるよりも、このほうがやるせない気持ちが伝わってくるように感じます。
ハッピーではない点に、この映画の良さがあるのではないかと。
社会面の問題も取り入れながら、人間の内面もしっかりと描いた点は素晴らしかったです。
【なぜ?】『チョコレートドーナツ』(2012)の疑問や見どころを解説

マルコ:ⓒMusic Box Films
なぜ死んだ? マルコの死因を解説
マルコの死因については具体的に語られていません。
3日間、家を捜し歩いた末、橋の下で独り死んだ、というだけ。
しかし、劇中でルディとポールがマルコを医者に診せに行った時、医者は「あらゆる病気にかかりやすい。甲状腺疾患、腸管異常、それから特に白血病です」と答えています。
もしかしたら、それらの病気に原因があるのではないでしょうか。
現代は医学の発達によりダウン症の平均寿命は延びたようですが、昔は平均寿命が20歳だったそうです。
本作の舞台は1970年代。
マルコが適切な医療ケアをされている様子はなかったので、死因は、3日間さ迷い歩いた故の衰弱、及び、なんらかの病気が合併して死んでしまった可能性が高いのではないかと思います。
上司はなぜ通報してしまうのか? 目的を解説
ポールの上司が通報してしまう理由は、差別と偏見によるものでしょう。
昔は同姓愛や親の育児放棄は当たり前でなかったので、偏見による差別からマルコをポールから引き離したほうが良いと感じたのではないでしょうか。
もしくは、ただ単に同性愛者というだけで、嫌がらせをしたとも考えられます。
ルディの歌に込められたメッセージとは?
『チョコレートドーナツ』(2012)で、最も印象に残った歌は『I shall be Released』でしょう。
これはルディが最後に歌う曲です。
歌詞を一部抜粋してみます。
もうすぐ 今日にでも
私は解き放たれる
私の光がやってくるのが見える
西から東へ輝きながら
約束する 信じてほしい
愛する人よ
私たちは必ず解き放たれる
歌詞を見ると分かりますが、これは自由を求める歌です。
この歌には2つのメッセージが込められているように思います。
いつか必ず、自由に愛せる時が来るという願い。
そして、3日間孤独にさ迷い歩き、死んでしまったマルコの魂への追悼。
同性愛者だけでなく、差別と偏見にあっている人たちに向けたメッセージもあるのかもしれません。
魂に響くルディの歌でした。
『チョコレートドーナツ』(2012)の伏線はあった?

ルディとポール:ⓒMusic Box Films
『チョコレートドーナツ』(2012)では、伏線が生きていないという評価があるようです。
ポールが「世界を変えたいと思っていた」と言っていたり、マルコが常に「ハッピーエンド」をせがんでいたりしたくだりは絶対に伏線になっていると思っていたのに、はずれてしまった
結論から言うと、伏線は生きています。
それは、ポールが最後にマルコが亡くなったことを知らせる手紙。
あの手紙でマルコが、チョコレートドーナツが好きなこと、ディスコの達人であること、寝る前の物語が好きでせがむのはハッピーエンドであるという、マルコの人となりを伝える内容が書かれていました。
この点からきっちり伏線は生きていると言えるのではないでしょうか。
『チョコレートドーナツ』(2012)の原題・タイトルの意味とは?

マルコ:ⓒMusic Box Films
本作の原題は『Any Day Now』。
これはルディが最後に歌う、ボブ・ディランの『I shall Be Released』からの引用です。
自由を求める歌だったので、セクシャルマイノリティを描いた本作の内容に沿ったタイトルと言えるでしょう。
一方で邦題は『チョコレートドーナツ』。
チョコレートドーナツはマルコの好物であり、マルコ、ルディ、ポールの3人が、初めて夕食を共にする場面で出てきました。
チョコレートドーナツは、3人が家族になった象徴と言えるのはないでしょうか。
家族と言えば、愛。
チョコレートドーナツ=家族=愛=マルコ
『チョコレートドーナツ』には、そんないくつかの意味が込められていると思います。
『チョコレートドーナツ』(2012)の原作や元ネタとは? 映画版との比較

施設に連れていかれるマルコ:ⓒMusic Box Films
『チョコレートドーナツ』(2012)は、実話に基づいて作られています。
その実話とは、1970年代のニューヨークのブルックリンでゲイの男性が育児放棄された障害児を育てたというもの。
この話に着想を得て、ジョージ・アーサー・ブルームが脚本を書きました。
しかし、実話は「ゲイの男性が育児放棄されたダウン症の子供を育てた」という物語の根幹部分のみで、他は大きく脚色して描かれた作品のようです。
『チョコレートドーナツ』(2012)の最後は? ラストシーンや結末を解説

ルディ:ⓒMusic Box Films
『チョコレートドーナツ』(2012)の結末・ラストシーン
『チョコレートドーナツ』(2012)の最後は、マルコは再び母親と暮らすことになりましたが、家を出てしまいます。
その後、マルコが3日間、家を捜し歩いた末、橋の下で独り死んでしまったという手紙をポールが書いて、元上司や裁判官に知らせました。
そして、ルディは魂を込めた歌を歌います。
『チョコレートドーナツ』(2012)の最後の解釈と考察
ルディが最後に歌う『I shall be Released』は本当に良かったです。
泣きます。
それにしても、なぜこれほど心揺さぶられる歌を歌うことができたのか。
それはルディを演じたアラン・カミング自身が同性愛者だからだと思います。
アラン・カミングは、2007年にグラフィック・アーティストのグラント・シェイファーとイギリスで同性結婚をしました。
彼自身も生きていく上で、セクシャルマイノリティの悩みや葛藤があったのではないでしょうか。
そんな彼だからこそルディの苦しみも分かりながら歌ったことで、最後の歌が観る人の心を動かしたのだと思います。
とてもビターなラストシーンでした。
【レビュー】『チョコレートドーナツ』(2012)の評価・評判

ルディとポール:ⓒMusic Box Films
【つまらない?】低評価のレビュー
『チョコレートドーナツ』(2012)ではどのような低評価レビューがあるのでしょうか。
映画レビューサイトをまとめてみると、
という低評価レビューがありました。
「感情移入できない」「リアリティに欠ける」という低評価が多いようです。
裁判でマルコに対する愛は感じられたものの、確かにマルコとの絆(関係)があっさりしていたようには感じました。
そのあたりが感情移入できなかった原因ではないかと。
裁判よりもマルコとの絆を感じさせるストーリーを長くとったほうが良かったのではないかと思いました。
【面白い?】高評価のレビュー
『チョコレートドーナツ』(2012)ではどのような高評価レビューがあるのでしょうか。
映画レビューサイトをまとめてみると、
という高評価レビューがありました。
「考えさせられる」「泣ける」という点に高評価のレビューがあります。
差別や偏見を描き、ラストも含め切ないストーリーに仕上げた点が良かったのではないかと思います。
日本の映画レビューサイト映画.comの点数は5点満点中4.0という高評価に。
また、映画賞でも、トライベッカ映画祭、シアトル映画祭、シカゴ国際映画祭など数々の映画祭で観客賞を受賞しています。
全体的に高評価な結果となりました。
『チョコレートドーナツ』(2012)の総合評価:ビターエンドな傑作ドラマ

ルディ:ⓒMusic Box Films
差別や偏見を描き、とても考えさせられる映画になっていた『チョコレートドーナツ』(2012)。
ルディの哀愁を感じさせる歌声も良かったですし、俳優陣の演技も素晴らしかったです。
本作をきっかけに差別や偏見など社会問題について考えてみてはどうでしょうか。
ぜひ多くの人に観ていただきたい作品です。
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