
『37セカンズ』(2020)は生まれつき脳性麻痺を抱えた女性が、過保護な母親から自立し、成長していく姿を描いたヒューマンドラマ映画です。
本作はベルリン国際映画祭パノラマ部門の観客賞、及び、国際アートシアター連盟賞を受賞しました。
なぜ本作は映画賞を受賞するほど評価されたのでしょうか。
1人の女性として、人間として、新しい世界に踏み込んでいく軌跡を描いた『37セカンズ』(2020)について、感想と考察、作品の魅力・映画とドラマの違いなどネタバレを交えて紹介していきます!
【『37セカンズ』(2020)の評価】
項目 | 評価 | 点数 |
知名度 | ★★★★☆ | 80点 |
配役/キャスト | ★★★★☆ | 70点 |
ストーリー | ★★★★★ | 90点 |
物語の抑揚 | ★★★★☆ | 85点 |
ドラマ | ★★★★★ | 90点 |
物語の深さ | ★★★★★ | 90点 |
目次
『37セカンズ』(2020)の作品情報
製作年 | 2020年 |
原題 | 37 Seconds |
製作国 | 日本、アメリカ |
上映時間 | 115分 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | HIKARI |
脚本 | HIKARI |
主要キャスト | 佳山明(貴田ユマ)
神野三鈴(貴田恭子) 大東駿介(俊哉) 渡辺真起子(舞) |
『37セカンズ』(2020)の概要

貴田ユマ:ⓒエレファント・ハウス
生まれつき脳性麻痺の障がいを持って生まれた貴田ユマは、母親に介護をしてもらって生活していた。
移動には車椅子や入浴などには母親がいつも介護していたのである。
そんなユマは漫画家として活動していたが、人気漫画家であるSAYAKAのゴーストライターだった。
自立するためアダルト漫画を描いて出版社に持ち込むが、「リアルな性体験がないと良い漫画は描けない」と編集長の藤本に断られてしまう。
ある日、とあることがきっかけで、障がい者専門の娼婦である舞と出会ったユマ。
その出会いにより、ユマは新しい世界へと飛び出していく。
『37セカンズ』(2020)の感想と考察

貴田ユマ:ⓒエレファント・ハウス
大きく成長していく姿が美しい
『37セカンズ』(2020)は脳性麻痺を抱えながらも、貴田ユマが大きく成長していく姿を描いた映画です。
貴田ユマは生まれつき脳性麻痺があり、移動は車椅子で介護が必要。
しかし、ユマはそんな人生を受け入れており、人生を呪うようなことはしません。
どうしようもない運命だけに暗くなってしまいそうですが、ユマは過保護な母親からの自立を望み、精一杯生きようとしている姿が美しかったです。
私生活だけでなく、漫画家として自立しようとしているのも印象的でした。
障がいを持っている方には、とても勇気を与えたのではないかと思います。
もちろんそうでない人でも、勇気を与えてくれますし、背中を押してくれるような映画でした。
彼女のように運命に言い訳せず、好奇心を持って、チャレンジしていける人生にしたいと思えます。
傑作? 数々の映画賞を受賞した理由
『37セカンズ』(2020)が数々の映画賞を受賞した理由は、感想でも書きましたが、成長していくユマを美しく描いたからだと思います。
他にあげられる点としては、リアリティではないでしょうか。
本作の主演を務めたのは、佳山明という女性。
彼女はユマと同じく、出生時に数秒間呼吸が止まったことによる脳性麻痺を抱えながらも社会福祉士として活動していた女性で、オーディションにより選ばれました。
そんな彼女だからこそ、ユマという女性をかなり、リアルに演じられたのではないかと思います。
本作はリアリティという部分でも素晴らしい映画でした。
障がい者に勇気を与える理由!現実の問題をリアルに描く
『37セカンズ』(2020)は障がい者に勇気を与える映画になっています。
その理由は主人公のユマが、過保護な母から飛び出し、新しい世界へ踏み込んでいく様子が描かれている点でしょう。
大きな障がいを持っていると、「自分は障がいを持っているから」と色々なことを諦めてしまっているのではないでしょうか。
しかし、ユマは自立しようと母親の元を飛び出し、新しい世界に積極的に踏み込んでいきました。
その姿は障がい者に勇気を与えるものだったと思います。
タブーに踏み込む成人漫画や風俗店などアダルト業界が舞台
『37セカンズ』(2020)は成人漫画や風俗店などアダルト業界を舞台にした点も評価できるポイントではないかと思います。
障がい者の性を描くのは、難しい側面があるかと思うのですが、本作はそんなタブーに堂々と踏み込み、リアルに描きました。
脳性麻痺があり、車椅子に乗っている人なんて性とは無縁だろうという先入観を払拭したい意図があったのかもしれません。
例え障がいを持っていたとしても、健常者と同じように性に対して興味がある。
そういう意味では障がいがあろうがなかろうが、同じ人間であり差別をするべきではないのです。
『37セカンズ』(2020)の原題・タイトルの意味とは?

貴田ユマ:ⓒエレファント・ハウス
『37セカンズ』(2020)の原題は『37 Seconds』。
つまり、37秒という意味です。
この37秒とは、出生時に呼吸が止まった時間。
37秒間呼吸が止まってしまったことで、ユマは脳性麻痺という障がいを抱えることになってしまいした。
37秒間はユマの運命の分岐点。
『37セカンズ』というタイトルにはユマの運命、そして人生を表しているのだと思います。
【比較】『37セカンズ』(2020)のドラマ版と映画版の違いとは?

ユマと俊哉:ⓒエレファント・ハウス
『37セカンズ』(2020)はNHKのBSプレミアムで、テレビドラマとしても放送されました。
テレビドラマ版は、映画とは違う視点で主人公ユマの物語を描き、映画とはまた違ったストーリー、エンディングも全く違うものになっています。
『37セカンズ』(2020)の最後は? ラストシーンや結末を解説

貴田ユマ:ⓒエレファント・ハウス
『37セカンズ』(2020)の結末・ラストシーン
『37セカンズ』(2020)の最後は、家を飛び出していたユマが帰宅し、母親と和解。
その後、お礼を言うため、再び出版社に訪れたユマは編集長の藤本に会い、新しい原稿を見せることになりました。
藤本はその原稿を気に入り、ユマにメールで送るように言います。
ユマは嬉しそうな顔をして、出版社を後に。
ユマの微笑みが印象的で、とても希望の持てるラストシーンになっていました。
障がいを持っていたとしても、自立できるし、健常者と同じように仕事ができる。
「自分らしく生きられるんだ」というメッセージが込められているように感じます。
それをユマも感じたのではないでしょうか。
とても心地良いラストになりました。
『37セカンズ』(2020)のラスト、なぜ生き別れの双子の姉がタイで先生をやっている?
『37セカンズ』(2020)では、ユマの生き別れの双子の姉がタイで先生をやっていることが明らかになります。
その理由はユマを演じた佳山明に秘密が。
実は佳山明にも双子の姉がおり、タイの学校で先生をやっているそうです。
監督のHIKARIは、オーディションで合格した佳山明がどういう演技をするのか全く分からない状態だったため、今まで生きてきた環境に近づき、ナチュナルな演技を引き出そうとしていたとのこと。
佳山明のナチュラルな演技は、リアルに近づけた設定からも来ているのでしょう。
ちなみに監督のHIKARIは、真実、実際どういうことが起こっているかということを、バックグラウンドとして書くのが彼女のやり方なのだそうです。
【レビュー】『37セカンズ』(2020)の評価・評判

ユマの母親:ⓒエレファント・ハウス
【つまらない?】低評価のレビュー
『37セカンズ』(2020)ではどのような低評価があるのでしょうか。
映画のレビューサイトをまとめると、
という低評価レビューがありました。
後半が現実味に欠けているという点が低評価につながっているようです。
タイに行って双子の姉に会う必要性はないという声も。
タイに行くシーンは確かに突飛であり、難しい判断ではありますが、ユマの生い立ちを知るうえで必要なシーンであった思います。
【面白い?】高評価のレビュー
『37セカンズ』(2020)ではどのような高評価があるのでしょうか。
映画のレビューサイトをまとめると、
という高評価のレビューがありました。
「涙が止まらない」「感動する」と言ったレビューが多く、ユマを演じた佳山明にも高い評価が多いです。
障がいを抱えながらも、力強く生きていくユマの姿が多くの感動を呼んだのでしょう。
日本の映画レビューサイト映画.comの点数は5点満点中4.2という高評価。
全体的に高評価の結果となりました。
『37セカンズ』(2020)の総合評価:心のバリアフリーにつながる映画

ユマと母親:ⓒエレファント・ハウス
生まれつき脳性麻痺を抱えながらも、強く生きていこうとするユマを描いた『37セカンズ』(2020)。
性のタブーに踏み込んだ点やとてもリアルに描いた点も良かったです。
障がいについて考えるきっかけにもなる良い映画。
ぜひ多くの人に観ていただき、心のバリアフリーが広がって欲しいと思います。
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